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2007年3月11日【日々のこと】

 ■ 久太郎様のある一日

 久太郎様は本日すこぶるご機嫌が悪い。お風邪を召されて咳がひっきりなしに続くからだ。
 午前5時半。ひどく咳き込まれて目を覚まされた。隣に寝ているママに「ママ、オキヨウヨー」と声をかけられた。弟とパパは当然夢の中である。
 朝食は白飯にカレイの煮付けとみそ汁といつもながらの和食のメニューだが、久太郎様はお気に召さない。「パンチョウダイ」久太郎様は電子レンジの横にいつもママがパンをストックしているのをよくご存じなのだ。久太郎様はご飯を勧めるママに「パンイイノ!」と重ねて要望されてパンを召し上がった。一口食べると「オヒザ」と申され、弟を差し置きママの膝の上に座って悠然とパンを召し上がった。
 パンを食べ終わると「デンシャ」と申され、早々にママの膝を降りて居間のデンシャで遊び始められたが、すぐ「マンマ、ダーッコ」と膝に戻ってこられた。
 弟はいつまでたってもご飯を食べれずママの隣の席で待っている。
 久太郎様は鼻水もひっきりなしだ。「ハナ!」とおっしゃれば鼻水をティッシュで拭いて差し上げなければならない。おばあちゃんがティッシュをとってぬぐおうとしようものなら「オバアチャン、チガウノ!!」とおしかりの声が飛ぶ。
 「ウンコ!」とおっしゃればオムツを替えて差し上げねばならない。パパがオムツを取って近づこうものなら「パパ、チガウノ!!」
 「ズレチャッター!」デンシャの脱線をなおして差し上げねばならない。
 「オバアチャン、チガウノ!」
 「オソト!」ジャンパーを着せてお供せねば・・・。
 「パパ、チガウノ!」

 午後6時。ママはいつもより遅い夕食の準備にかかろうとしていた。ママが台所に立った瞬間、久太郎様は「ダーッコ。ダアーッコヨー」とママの脚にしがみついて来られた。おばあちゃんにたしなめられ渋々おばあちゃんに抱っこされた久太郎様は小さな声で「マンマ、ダアッコヨー」とつぶやかれていた。
 大急ぎでママは夕食を作って並べた。久太郎様は真っ先に椅子に座られた。「アツイ。マンマ、フウフウシテ」ほかの家族のご飯の盛りつけが終わっていないがママは久太郎様のご飯を先にふうふうした。「マンマ、タベサセテ」ママは久太郎様のスプーンを持って久太郎様にアーンとした。久太郎様は「オイシナイ」とはき出した・・・・。
 久太郎様はさすがにママに家の外に放り出された。でも素早い動きで家の中に舞い戻り、我慢して全部ご飯を食べた。
 食べ終わったとたん、平然と「ネンネ」とおっしゃった。
 ほかの家族がご飯を食べている中、久太郎様はママとお風呂に入られた。
 ベッドに入ってママは「今日は咳がひどいからオッパイ飲んじゃだめだよ。吐いちゃうからね」と言った。
「イヤー!!」久太郎様はお猿のような顔で拒否された。しかし1分後、お昼寝をしなかった久太郎様はすでに寝入られた。

 久太郎様の(ママの?)長い一日がやっと終わった・・・。

2007年3月11日 11:27