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2007年4月30日

 夫の職場のリクリエーションにきゅうたろう君と弟を連れてついていった。
 「吉野山の散策と花見」とは何とも風流ですなあ。行く行く。私が育休取ってる今、私の職場関係のレクは皆無だし。
 きゅうたろう君には「近鉄特急乗って、奈良に行くよ」と知らせておいた。
 乗り物の大好きなきゅうたろう君は「キンテツトッキュウノッテ、オサンポイク」と毎日のように言っていた。

 甘かった。オサンポどころか、登山だ。吉野駅からはバスがでていたが、一行はバス停を素通りして登山コースへ。土と石の急な斜面をえっちらおっちら登っていくのだ。
 ちょっと待って。私の右腕には10キロの弟。前にはバギーに乗ったきゅうたろう君。かばんにはオムツが5枚ずつ。子ども用のお弁当とジュースが4本。
 途中、バギーでは上れないところは職場の方にバギーを背負ってもらい、きゅうたろう君を夫と交代で抱っこして山の中腹までたどり着いた。
 一行はこの上にまだ登るという。
「大河原君、どうする?」
 今すぐ帰りたい。小さな声で夫に言ってみた。夫は無視して、「ここで、待ってます」と答えていた。

 ところがそのとき「マダオサンポイクーノ!」と叫ぶやつがいた。言わずとしれたきゅうたろう君だ。

 なに言ってんだ。おまえは。ずっとバギーに乗って気持ちよく風に吹かれながら桜を見てたのはアンタだけ!ママはただでさえ運動不足なのに、ようちゃんを抱えて登ってきたのよ!桜があったかどうかも覚えてないわ。だめだめ!休憩よ!

 そこで見た桜と景色はなんともきれいだった。

 このレクを一番楽しんだのはきゅうたろう君だ。
 きゅうたろう君は近鉄特急に乗っている間ずっと、特急とすれ違うたび、「マタキター!」「オンナジ!イッショ!」とママの膝の上ではねていた。
 途中、隣のホームに伊勢志摩ライナーが止まっていたので教えてあげると、「キイロ!イシセマライナー!」とちゃんと覚えた。
 座席の頭の部分に紙製のカバーが掛かっていて、そこには近鉄電車の絵が描いてあった。もらって帰りたかったけど気が引けて、「やめとこ」と言うと、「ホシカッター!」とお猿のような顔で泣いていた。

 帰ってきてからも特急の絵本をめくりながら
「キンテツトッキュウ!」「サクラライナー!」「イセシマライナー!」を連発していた。

 なんともかわいい。あんまり行きたくないけど、また連れて行ってあげたい。

日々のこと 

2007年4月29日

 きゅうたろう君はあれだけこだわったおっぱいをすっぱりやめた。


 3月半ば。私はひどい頭痛におそわれた。痛くて立ち上がれなかった。
 幸い頭痛は翌日には治ったし、ちょうど実母がいて、夫にも連絡がついて早く帰ってきてもらえたので、たいした騒動にはならなかったが、私が起きあがれないような時でもきゅうたろう君はおっぱいにしがみついて、おっぱいなしにはネンネできなかった。これは堪えた。

 それ以来、私はおっぱいをあげるのがイヤになってしまった。
 私は決意した。自然に卒乳するのを待っていたけど、もう十分待った。やめさせよう。私の体調不良の時さえ離れられないなんてつらすぎる。ちょうど進級するときだから、いいきっかけになる。

 3月末。ぞうぐみさんに進級するのを目前にして、私はきゅうたろう君に言った。
「きゅうたろう君はもうすぐぞうさんになるからお兄ちゃんやで。だからおっぱいは赤ちゃんにあげような。こぐまさんとこあらさんはまだ赤ちゃんやからおっぱいほしがるけど、お兄ちゃんはおっぱいはいらんやろ。ぞうさんになるまではおっぱい飲んでいいよ」
 きゅうたろう君は保育園でぞう組さんが一番大きいのをちゃんと知っている。こぐま組で一年間、ぞう組さんが手をつないで散歩に行ってくれたり、おもちゃを譲ってくれたり、三輪車をこげたり、自分より大きい人というのがちゃんとわかっているのだ。

「ゾウサン?」「オニイチャン?」「アカチャンニオッパイ、アゲヨナ!」
 きゅうたろう君は張り切って返事した。頭痛以来ママがおっぱいをなかなか快くくれないので、久しぶりに笑顔でおっぱいをもらえて嬉しかったのか、にこにこおっぱいを飲みながら。

 4月。保育園は準備期間で数日お休みだ。いつも通り、朝起きてすぐおっぱいを飲んでいるきゅうたろう君に尋ねてみた。
「久ちゃん、ぞうさんになったらおっぱいやめるんやんな?」
「イヤ。ヤメナイ」
「・・・・」

 保育園が始まった。きゅうたろう君はやっぱりおっぱいをやめない。寝る前。眠りが浅くなった夜中数回。朝方数回。起き抜け。

「お兄ちゃんやろ」
「ぞうさんやろ」
なんにも聞いてない。

 号泣されると私も起こされるし、きゅうたろう君も起きてしまう。弟もパパも起こしてしまう。家族そろって午前5時前に起きる日が数日続いて私は自信がなくなってきた。
 つらい。眠い。時期尚早だったのかしら。あんなにほしがって泣いてかわいそう。どうせ号泣されておっぱいをあげてしまうなら、はじめからあげた方がいいのかなあ。
 でももう快くあげられない。
 保育園の先生に相談してみた。
「なかなかかもしれないけど、おっぱいやめたらもっとご飯食べるようになるよ、お母さん」
 この言葉は私に力をくれた。きゅうたろう君におっぱいをやめさせるのは悪いことじゃない。
ご飯をたくさん食べて大きくなってもらいたい。ダメ元でいろいろやってみよう。

 私はおっぱいに顔をかいた。以前使ったテだ。コレできゅうたろう君は食事代わりにおっぱいを飲むのをやめた。
 きゅうたろう君が保育園から帰ってきた。

「久ちゃん。あのね、おっぱいがね、怒ってるよ」
「オコッテルノ?」きゅうたろう君はじっと私を見ていた。

「そう。久ちゃんがぞうさんになったらおっぱいやめるって言ってたのに全然おっぱいやめないから。おっぱい怒ってるの見る?」
「イヤン。コワイ」
「見てみてよ。ようちゃんのおっぱいは怒ってないねん。久ちゃんのだけ怒ってんねん」
「イヤーヤ」

 正念場の寝るときだ。
「久ちゃん、おっぱいあげようか。」
「イヤン。コワイ」
「おっぱいなかったら眠れないやろ?」
「イヤン。イラナイノ!!」
「ほな、背中ポンポンしたげよか?」
「ウン」

 きゅうたろう君は生まれて初めておっぱいを拒否した。私は大声でやったー!!と叫びたかった。家にはほかに誰もいないところが悲しい。
 まだまだ油断できない夜中。
「オッパーイ!」
きゅうたろう君が叫んで目を覚ました。
「おっぱい怒ってるよ。飲むか?」
「イヤーヤ!!」

なんと!!

 朝、目を覚ましたきゅうたろう君に私は言ってみた。
「久ちゃん、今日おっぱい飲まなかったね。すっごいねー!」

 きゅうたろう君はタイムリーな一言。

「オッパイバイバーイ。」

 弟が生まれて9ヶ月。ずっと悩んで悩んで、いろんな人に相談して調べて考えて格闘してきた卒乳が、いまやっとできて気持ちも体も楽になりました。きっかけはちょっとしたことだったけど、長い過程があって機が熟していたのだと思っています。

 あの日から約1ヶ月。きゅうたろう君は一度もおっぱいをほしがりません。

日々のこと