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2007年3月26日

 きゅうたろう君は乳児保育所に通っている。0・1・2歳クラスしかない保育園だ。だから来年必ず違う保育園に入らなくてはならない。今の保育園は先生は子どもを愛してくれてて親にも親切だしとても気に入っているから残念だけどしょうがない。
 私は出足早く動こうと先日、第一希望の保育園に電話をした。職場に一番近く、延長保育も長くやってくれる保育園だ。
「0歳の時に希望したのですが入れず、今回はどうしてもここに入りたいのです。園庭開放の日があるようでしたら参加させていただいて、ご挨拶もさせてください」
 電話の応対をしてくれた先生はとても丁寧だった。
「入園できなくて申し訳なかったですね。園庭開放の日は4月に入ったら決まりますので、またお電話くれますか。それから3歳児クラスを希望されると言うことですが、来年の4月になって定員に空きがあるかどうかはわからないので、どうしてもとおっしゃるなら今から転園希望を福祉事務所に出されて、空きが出次第こちらに来られたらどうですか」といってくださった。
「え。年度途中からそちらに移るのは子どもにとって負担が大きいような気がするのですが」
「親御さんの気持ちはそうなのですが、子どもの適応は早くて、あっという間に慣れてくれるのです。それに年度の初めに移ってこられると、ほかのお子さんも進級されたばかりで不安定で担任も手が回らないこともあるのですが、途中で入ってこられた場合はそのお子さんにこちらも集中できるので、逆によいのではないかと思います」
 とても誠実に教えてくれたような感触を持った。是非そうさせてもらおうと思い、福祉事務所に速攻電話をかけた。
 でも福祉事務所の対応はぶっきらぼうだった。
「乳児保育所に入所していているのですが、次の保育園に転園したいのです。」
「年度途中の転園は難しいですよ。」
「え。
 でも、次の希望する保育園に今からでも希望を出して置いた方が確実だとおしえていただいたのですが。やはり今入所できている人より入所を待っている人を優先するからですか」
「そう。だから年度途中は難しいの。乳児保育所でしょ。次に入るときは優先順位も高いから、そのときまで待たれたらどうですか」
「でも確実かどうかはわからないんじゃないんですよね」
「それはわからんなあ。でも働いてる人の優先順位は高いのよ。おつとめはまだされてるのよね」
「やめる予定はないですが、下のこの育児休暇を取っているのです」
「それは優先順位が低いわ。下の子も一緒に入れたら高くなるけど」
「夫の帰宅が深夜なので、変則勤務にはなかなか戻れないんです」
「そしたら、保育園にこれから何度も顔を出して、顔売っておいたらどう?それか、空いてるか保育園に聞いてもらって、この4月に切りよく変わったら?」
 私は疲れて電話を切った。
 結局なんにもやってもらえない。
 保育園に顔を売るって、なんだそれ。4月から移ったら?って今3月やんか。下の子も保育園に入れたら?って働かないと保育園には入れてくれないじゃないか。夫は深夜にしか帰ってこないのに、どうやって変則勤務と残業をこなすんだよ。
 翌日夫に話した。
 夫は「子どもを二人以上作って健全な青年のはずなんだけどなあ。貧困だなあ」と言った。

保育園 

2007年3月16日
 ■  失恋

 久太郎君には好きな女の子がいる。保育園の同じクラスのレイちゃんだ。1月生まれのレイちゃんはおとなしくて小柄で、何となく上品な感じのする女の子だ。
 夕飯を食べているとき、お風呂に入っているとき、突如としてママに「レイチャンハ?」と聞いてくる。「さあねー。きっと今頃おうちでご飯食べてるよ」と答えておく。
「レイチャンパパハ?」と聞かれたこともある。レイちゃんのパパが何をやってる人か聞いたことがないけど「きっと、まだお仕事頑張ってるんじゃないかな」と答えておく。
 保育園の先生に報告すると、「そういえば昨日のお昼ご飯の時突然、レイチャンハ?って聞かれました。お休みされてたんですけど。気になる存在なのかしらねえ」
 こんなこともあった。保育園のママ数人と子どもを連れてご飯を食べる機会を持った。レイちゃんが遅れてママと一緒にやってきたとき、久太郎君は入り口まで走って寄ってきた。
「レイチャンダ!」
 ほかの子を出迎えたりはしなかったのに。
 そうかー、久太郎君、レイちゃん好きなのかー。(ママがまだまだ世界で一番久太郎君の好きな人だという自信があるので、ちっとも焦らない私。ふふ)
 横に座ったレイちゃんママに聞いてみた。
「うちの久太郎、レイちゃんのことよく家で聞いてくるんだけど、レイちゃんは久太郎のこと何かいってる?」
「いえ。レイは何も。」
「レイはまだあんまりおしゃべりしないんです。」
 レイちゃんママはフォローをしてくれたけど、久太郎君のほのかな恋は泡と消えそうだ。

日々のこと 

2007年3月15日
 ■  パン屋さん

 久太郎君はパン屋さんが好きだ。でもパン屋さんで私が「こらー!」と言わない時はない。
 ある日のパン屋さん。レジで片手に弟のベビーカー、片手にパンのトレーと財布。久太郎君は私の後ろについてきているはず。(どっか行ってないよな?)気になって後ろを振り返った。久太郎君は両手に試食のパンをいくつも握って口に入れようとしているところだった。
「こらー!!」
 久太郎君はびっくりして手からパンを床に落とした。そして急いでパンを拾ってあろうことか試食の器に戻した! 慌てて駆け寄ったけどどれが落としたのものかわからない。どうしようもなくてそのままにして置くしかなかった。すいません。
 またある日のパン屋さん。久太郎君はまた試食のパンを食べていた。(まあ子どもやしな。)私は横目でみながらお豆パンをトレーに入れた。すると別の種類のお豆パンを持った店員さんが「こちらは新商品なんです。どうぞ」と試食を差し出してくれた。私は「ありがとうございます」ともらって久太郎君に
「これ、くれはったよ。どうぞ」とあげた。久太郎君はなんと、食べていたパンをべーとはき出して新しいパンをぱくっと食べた。 「こらー!!」
 またまたある日のパン屋さん。
「久太郎君、パンの試食は、買おうかな、どうしようかなって迷ったときにちょっと食べるもんやで。久太郎君のご飯ちがうで。欲しかったらこうてかえろな」
「ウン」
 久太郎君はパン屋さんの前でそう返事してから、いつものように試食のパンを食べていた。
「こらー!!」

日々のこと 

2007年3月11日

 久太郎様は本日すこぶるご機嫌が悪い。お風邪を召されて咳がひっきりなしに続くからだ。
 午前5時半。ひどく咳き込まれて目を覚まされた。隣に寝ているママに「ママ、オキヨウヨー」と声をかけられた。弟とパパは当然夢の中である。
 朝食は白飯にカレイの煮付けとみそ汁といつもながらの和食のメニューだが、久太郎様はお気に召さない。「パンチョウダイ」久太郎様は電子レンジの横にいつもママがパンをストックしているのをよくご存じなのだ。久太郎様はご飯を勧めるママに「パンイイノ!」と重ねて要望されてパンを召し上がった。一口食べると「オヒザ」と申され、弟を差し置きママの膝の上に座って悠然とパンを召し上がった。
 パンを食べ終わると「デンシャ」と申され、早々にママの膝を降りて居間のデンシャで遊び始められたが、すぐ「マンマ、ダーッコ」と膝に戻ってこられた。
 弟はいつまでたってもご飯を食べれずママの隣の席で待っている。
 久太郎様は鼻水もひっきりなしだ。「ハナ!」とおっしゃれば鼻水をティッシュで拭いて差し上げなければならない。おばあちゃんがティッシュをとってぬぐおうとしようものなら「オバアチャン、チガウノ!!」とおしかりの声が飛ぶ。
 「ウンコ!」とおっしゃればオムツを替えて差し上げねばならない。パパがオムツを取って近づこうものなら「パパ、チガウノ!!」
 「ズレチャッター!」デンシャの脱線をなおして差し上げねばならない。
 「オバアチャン、チガウノ!」
 「オソト!」ジャンパーを着せてお供せねば・・・。
 「パパ、チガウノ!」

 午後6時。ママはいつもより遅い夕食の準備にかかろうとしていた。ママが台所に立った瞬間、久太郎様は「ダーッコ。ダアーッコヨー」とママの脚にしがみついて来られた。おばあちゃんにたしなめられ渋々おばあちゃんに抱っこされた久太郎様は小さな声で「マンマ、ダアッコヨー」とつぶやかれていた。
 大急ぎでママは夕食を作って並べた。久太郎様は真っ先に椅子に座られた。「アツイ。マンマ、フウフウシテ」ほかの家族のご飯の盛りつけが終わっていないがママは久太郎様のご飯を先にふうふうした。「マンマ、タベサセテ」ママは久太郎様のスプーンを持って久太郎様にアーンとした。久太郎様は「オイシナイ」とはき出した・・・・。
 久太郎様はさすがにママに家の外に放り出された。でも素早い動きで家の中に舞い戻り、我慢して全部ご飯を食べた。
 食べ終わったとたん、平然と「ネンネ」とおっしゃった。
 ほかの家族がご飯を食べている中、久太郎様はママとお風呂に入られた。
 ベッドに入ってママは「今日は咳がひどいからオッパイ飲んじゃだめだよ。吐いちゃうからね」と言った。
「イヤー!!」久太郎様はお猿のような顔で拒否された。しかし1分後、お昼寝をしなかった久太郎様はすでに寝入られた。

 久太郎様の(ママの?)長い一日がやっと終わった・・・。

日々のこと