佐伯功勝さん

 コロナ禍のもとで雇用を守る、病床削減に反対するなど医療・介護にかかわる倉林明子参院議員の国会質問をテレビや新聞報道で拝見して、良い視点をお持ちだと注目していました。

 その視点とは、お釈迦さま由来の「天上天下 唯我独尊」(=世のすべての人が一人ひとり尊い)の考えで、「基本的人権」を大事にするということに通じます。

 浄瑠璃寺本堂の阿弥陀如来中尊像(国宝)の光背には千仏が配されています。仏教でいう千=無限を意味し、例えば千手観音は、千の手と目ですべての生きとし生けるものを救う慈悲を表現した菩薩(ぼさつ)です。民の声を救い上げ、だれもが困らない政治、制度に改めさせようとする倉林さんの姿勢は、そこに共通する印象を持ちます。

 先代(故・佐伯快勝住職)は、「自然を畏れ 自然を敬まい 自然にしたがう」を信条にし、私も大事にしています。湧水をたたえる池を中心とする浄瑠璃寺の風景からも、それを感じます。

 そう考えると、京都の地下深くを掘って新幹線を通す計画は、これに反する人間のおごり。京都仏教会の一員としても反対署名を呼びかけています。地下水脈への影響をはじめ、先人が築き守ってきた自然に対する乱暴な計画は、中止していただきたいです。