「選挙ヘイト」より悪質に 外国人攻撃で支持得る手法「卑劣」/ジャーナリスト・中村一成さん #排外主義許さない

外国人の人権に関わる全国のNGOが8日、排外主義の扇動に反対する緊急共同声明を発表しました。旧植民地に一方のルーツをもつ京都のジャーナリストで、賛同団体の「京都府・京都市友好なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」などで活動する中村一成さんに、外国人敵視の問題点、排外主義勢力伸長の背景などについて聞きました。
参政党などが主張する「外国人優遇」はまったくの虚偽です。
今の日本では、外国人に納税の義務はありますが選挙権はない。公務員になっても任用制限がある。生活保護は受給できますが権利ではない恩恵です。難民認定率も異常に低い。
戦中、日本は植民地出身者に参政権を認めましたが敗戦後に停止しました。外国人登録令で管理・監視の対象とし、民族教育も否定した。1952年には一方的に国籍を喪失させ、ほぼ全ての社会保障や戦後補償から除外しました。70年代以降、社会保障制度からの排除は改善されましたが、国籍による「身分制」は、現在も本質的に変わりません。
本来、責められるべきは、40年近くも経済成長できなかったこの国の政治です。排外主義者は、外国人を攻撃することで支持を集めていますが、卑劣な問題のすり替えです。
1990年代から00年代初めには、指紋押なつの廃止や公務員採用の拡大、朝鮮学校の処遇改善など「市民的平等」を志向する流れもありました。しかし07年には「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が結成され、各地で差別街宣を行うなど、外国人差別は悪化していきました。
09年の在特会による京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)への襲撃事件を契機に、排外主義者と法律でたたかう流れが生まれ、川崎市ではヘイトスピーチに刑事罰を科す条例まで制定されました。
一方で彼らは16年に日本第一党を結成し、公選法に守られながらヘイトスピーチをする手法を確立しました。
日本社会の「根っこ」問われている
離合集散を繰り返すたびに、より悪質な選挙ヘイトをする勢力が現れ、排外主義を受け入れる土壌も加速度的に広まりました。
「外国人問題」など存在しません。あるのは同じ人間を平等に遇することができないこのレイシズム(=人種差別主義)まみれの社会をどうするかという問題です。植民地支配と侵略戦争の歴史を反省せず、戦後も差別を制度化し、反差別の規範を確立しなかったこの国の根っ子の問題です。
NGOの声明にあるように「国籍、民族に関わらず、誰もが人間としての尊厳が尊重され、差別されず、平和に生きる共生社会をつくる」ため、一つひとつの事実を示して危険なデマに反論し、排外主義者の政党を通さないようにしましょう。