市政転換を訴えて奮闘する、おくい候補

合併14年「統廃合」が疲弊加速

地域交流拠点も民間に

 福知山市長選が7日告示されます(14日投票)。1市3町合併から14年で、人口減少など地域の疲弊が進行するもと、前・現市政の12年間では、疲弊を加速させる学校統廃合や市民サービス切り捨てが行われてきました。市長選では、「切り捨てと削減路線を続けるのか、住民の命と暮らしを守る自治体の本来の役割を発揮する市政に転換するのか」が問われています。

 「人も減り、近所からスーパーも無くなった…」。同市の西端に位置する夜久野町平野の住民は嘆きます。2006年に福知山市、大江、三和、夜久野の3町の合併後、旧3町では人口減少が著しく、夜久野町の減少率(約27%)は最大です。経済面も「疲弊」し、卸・小売業の事業所は16年までに約30%減少しています。

 こうした事態に拍車をかけるように前・現市政は「切り捨てと削減」を進め、小学校は27校を16校に、保育所は13園を5園に統廃合。市役所支所職員は1支所32人から9人になりました。

 12年度で閉校した夜久野町の精華小校区に暮らす夜久弘明さんは、「閉校後には、学校近くの商店もどんどん減っていった。地域の活気が無くなっていく」と語ります。

公共施設床面積4割削減へ

 こうした市政運営は、今後も進められようとしています。代表的なものは、14年に策定の「公共施設マネジメント計画」で、30年間で734の公共施設を床面積で43%削減しようというものです。

民間への貸し付けが検討されている「三和荘」

 同計画の根本にある「選択と集中」という考え方のもと、大江山グリーンロッジ(大江町)、道の駅「農匠の郷やくの」(夜久野町)、三和荘(三和町)など地域交流拠点の指定管理者制度をやめ、民間への貸し付けが検討されています。

 三和荘は、宿泊施設や運動場からなり、老人会など各種団体の催しや、地域の子ども祭りなどに利用されています。山口弘太郎さんは、「住民がボラティアで草刈りなども行い支えてきた。民間では利益が出ないと運営できない。効率化の名のもと切り捨てはやめるべき」と語ります。

敬老会補助金105円削減

 こうした市政運営は、高齢者分野にも及びます。17年度から敬老会補助金は1人あたり105円カット。老人会の旅行の際のバス貸し出しも廃止に。現市政が16年から4年間で、335事業の廃止、見直し677という結果を生んだ「事業棚卸し」の結果です。

 中老人会元会長は、老人会の年2回の旅行もレンタカーとなり、参加者の負担が増えたと語り、「先が短いものから楽しみを奪うようなことはけしからん」と怒ります。

 前・現市政のもう一つの特徴は、財政難を理由に市民の切実な要求には背を向けてきたことです。同市の子どもの医療費は通院で1回あたり500円です。拡充を求める市民の声は届いていません。

 今月27日には市民団体「子ども医療費福知山ネット」が市長に対し、拡充を求める1201人分の署名と要請書を提出。2人の子どもを持つ桐村郁子代表は、「コロナで対面して署名を集めにくい状況にもかかわらず、これだけ集まった。それだけ実現を望む声が大きいということです」と力を込めます。

 同市長選には「市民が主人公の民主市政をつくる会」のおくい正美氏、現職の大橋一夫氏(66)、元副市長の嵳峩賢次氏(65)、元小学校長の小瀧真里氏(60)の4氏が立候補しています。

コロナ危機の影響深刻 おくい候補「命・暮らし・生業守ってこそ」

 「市民が主人公の民主市政をつくる会」のおくい正美候補(66)は、「暮らし丸ごと応援の市政に、今度こそ本気で変える」と奮闘しています。

 おくい候補は、新型コロナウイルスが暮らしと地域経済へ深刻な影響を及ぼしているもと、「市民の暮らし、命、生業を守る市政が今こそ必要だ」と訴えています。こうした市政に転換するため、直ちに実行する施策としてコロナ対策や子育て、高齢者、地域経済、住民自治の5つのテーマからなる「すぐやるプラン」を掲げています。

 同プランは、同市年間予算の1%未満(約3・7億円)で実施可能であり、おくい氏は「無いのはお金ではなくやる気。やる気がある私にぜひ任せてほしい」と訴えています。

 プランの中身は▽コロナの感染防止、医療体制確保。家賃や水光熱費、機械のリース料など固定費補助▽子ども医療費無料化拡充、国保料均等割廃止▽敬老会補助金削減を元に戻す▽水稲作付交付金(10アールあたり5000円)創設▽旧3町の地域交流拠点を守る─などです。