自民党総決起集会で訴える、公明党の竹内衆院議員(7月18日、京都市内)

 参院選の投票(7月20日)を明日に控えるなか、裏金問題をはじめ、北陸新幹線延伸計画の強行、「ひめゆりの塔」を巡る暴言などで府民の厳しい批判にさらされている、自民党現職の西田昌司参院議員に対して、連立政権を組む公明党の内部からも「(西田氏の)推薦を撤回せよ」などの声が上がっているといいます。京都府内の公明党元地方議員は、本紙の取材に答えて、西田氏の「ひめゆり発言」は「容認できない」と語っています。

沖縄への特別な思いある

 この元地方議員は、「とんでもない発言で認めるわけにはいかない。沖縄戦の歴史を学び、犠牲者に思いをはせる必要がある」と厳しい口調で語ります。

 公明党が「平和の党」として活動してきた原点に、支援団体・創価学会の初代会長・牧口常三郎氏と2代会長・戸田城聖氏が戦前、治安維持法違反で投獄されても反戦を貫いてきたことがあるといいます。「創価学会のみなさんは、平和の尊さと沖縄の歴史を学習してきたから、西田さんの発言は何だと疑問符がついた」と話します。

 創価学会内で、平和の尊さや沖縄戦の惨状を学ぶ教科書となっているのが、3代会長の池田大作・名誉会長が創価学会の歴史と子弟のドラマをつづった小説『人間革命』『新・人間革命』です。池田氏は、沖縄で『人間革命』を書き始めるなど、沖縄への特別の思いを持って臨んだとされています。

  公明党は、西田氏が「ひめゆりの塔」を巡る発言をした4日後の5月7日、西田実仁幹事長が自民党幹事長に対して苦言を呈し、「まず発言の撤回ならびに謝罪、歴史の検証を本人に強く求めることが大事」(「朝日」5月8日付)と求めました。

「推薦巡り紛糾した」公明衆院議員が内幕

 これを受けて西田氏は9日に記者会見を開いたものの、「憲法改正の講演会で言うべきではなかった。TPOをもう少しわきまえるべきだった」と述べるにとどまり、撤回も謝罪もしませんでした。さらに、月刊誌『正論』7月号でも、「ひめゆり」という言葉を沖縄の地で口にしたことは、TPOをわきまえなかった、と述べるにとどまり、自分は事実を語った、と無反省の姿勢を露わにしました。18日に京都市内で開かれた自民党の総決起集会では、公明党の竹内譲衆院議員が、「公明党が西田さんを推薦を決定した後、わが党の中でも紛糾した。『推薦取り消せ』『撤回せよ』という大変な事態になった」と党内で公然と異論が出された内幕を明かしました。

 元地方議員は、「創価学会のみなさんは、自公の枠組みを守らないと政権の安定が崩れると思い、いろいろあっても懐の深い対応をしてこられたが、今回の選挙はさすがに西田さんをストレートに応援しようという気分にならない方が多い。投票はそれぞれの判断にゆだねざるをえない」と語ります。