選挙が分断あおる広告に 政策見極め一票託して/映像作家、京都芸術大学教授・丹下紘希さん #排外主義許さない

「外国人が治安を悪化させている」など、人種を主語としたデマに基づく排外主義が、この選挙の中で横行しています。その背景には複雑な要因が絡み合っているのではないでしょうか。
一つは、私たちの経済的困難や閉塞感、生きづらさがあると思います。その不満のはけ口が「外国人」となっています。
二つ目は、私たち人間の特性に関係していると思います。私たちは、想像力で現実を補って認識しようとする生き物です。知らず知らずのうちに自分の抱える不安とデマを一致させ、自分の脳内で新しい現実を生み出してしまいます。
こうした人間の特性を認識しないと、外国人を見るだけで悪い印象を持ってしまいます。
そのような過ちは歴史の中で繰り返されてきました。日本では1923年の関東大震災で「朝鮮人が略奪や放火をした」といった流言飛語が広まり、無実の朝鮮人らが虐殺されました。
三つ目は、不安や恐怖こそ広く早く伝達するというメディアの特性です。選挙が分断と不安をあおる広告と化しています。選挙期間にはファクトチェックは間に合いません。各党が声高に不安をあおり、我こそは救世主だと競い合う状況になっています。
有権者の人たちには考えてほしい。どうしたら分断をうまないのかを。外国人、日本人という大きな主語を使い対立をあおる政党に対し、地味でもいい、大きな主語を使わず、コツコツと原因を説き、みんなと一緒に困難を解決するために努力する政党はないのか。本当の政策を掲げている政党を見極めて一票を託してほしいと願います。