宮津市がゲノム編集魚のトラフグを、ふるさと納税の返礼品としていることについて、同市の市民団体「宮津麦の宙ふねネットワーク」は2月14日、城崎雅文市長に対して返礼品から除外を求める署名1万661人分を提出しました。同ネットワークは、国内ではゲノム編集食品が国への届け出のみで販売・流通を承認されていることから、健康や環境への影響に不安があるものを自治体が推奨すべきでないと訴えています。

 このトラフグは、食欲抑制などを担うホルモンをゲノム編集で働かないようにしており、よく餌を食べることで自然界の2倍の成長速度で大きくなるもの。京都大学発のベンチャー企業「リージョナルフィッシュ」が開発し、宮津市にある施設内で陸上養殖しています。返礼品には2021年12月から認定されています。

 署名提出では、安全性についての市民の不安の声を受け止め、ゲノム編集魚の問題点を訴えている専門家の意見を聞き入れ、返礼品からの削除を求めています。また、住民説明会の開催を求めるとともに、自然界への流入を懸念し、海上養殖を行わせないことも申し入れました。

 これに対し、署名を受け取った市担当者は、自治会以外の要望には回答しないことが市のルールだという見解を示しました。

 同ネットの井口裕子さんは、「市の対応は住民の声を聞いて、対話する気がないという姿勢であり大きな問題です。宮津には天然の豊富な海洋資源あがるのに、安全性に不安のあるゲノム編集魚を自治体が推奨するのはおかしい」と語ります。

 署名提出後の記者会見では、オンライン参加した分子生物学者の河田昌東さんが、ゲノム編集されたトラフグでは、食欲抑制というターゲットになった機能以外の機能にどのような影響を与えるかなどに懸念があると指摘。

 筋肉量を増やしたサケでは繁殖能力が低下し、自然界で天然のサケと交配すれば22世代で絶滅するという理論的研究を紹介し、自然界への影響の懸念も訴えました。

 さらに、ゲノム編集に必要なマーカー遺伝子(編集の目印の役目)が残存することによる健康への影響を指摘し、日本では残存しているかのチェック体制が無いと指摘しました。

 その上で、健康・環境への安全性審査、消費者の選択の権利を保障する表示義務が必要だと強調しました。

 「OKシードプロジェクト」事務局長の印鑰智哉さんは、トラフグを宮津市が返礼品に採用するとともに、府は同社に補助金を支出しているとし、住民への十分な情報公開の必要性を強調しました。