「会員一人ひとりの人生が詰まった本。装丁にもこだわり、良い本にしたい」と話す馬場さん(左)と山元さん

 京都・中京民主商工会(中京民商)が今年、創立70周年を迎え、記念本『京都・中京民商の生活史』を制作することを決め、そのためのクラウドファンディングを始めています。本には、会員30人の「商売・人生」についての語りを「聞き書き」で集め、一冊にまとめます。同民商では「会員一人ひとりの商売の歴史や知恵が詰まった本にしたい」と意欲を燃やし、クラウドファンディングへの協力を呼びかけています。

 本の作業を進めているのは、5人の編集委員です。記念事業のための実行委員会で当初議論した際は、70年の組織の歩みを記録としてまとめた「記念誌」を想定していました。

 そんな中、会員歴1年の新規加入者の「もっと読み物として面白いものができないか」という斬新な提案が、メンバーを驚かせました。「でも面白そうや」、「会員一人ひとりに光をあて、人生や商売を自由に語ってもらって、そのまま収録しよう」、「装丁もいいものにしようやないか」。トントン拍子に話がまとまりました。

 京都のど真ん中の中京区で、地域の暮らしを支えてきたさまざま業種の会員の中から、京焼・清水焼絵付師、京菓子や京象嵌、和裁縫製の職人、スナックのママ、税理士、占術師などに「語り手」になってもらいました。 

 本は自費出版。1章が各会員が語る「生活史」です。2章には、同民商の活動に協力してきた京都橘大学教授の岡田知弘さんと立命館大学教授の松尾匡さんによる、寄稿文が掲載されます。クラウドファンディングで費用の一部、100万円を集めるのが目標です。

 編集委員の馬場雅規さんは「会員さんの語る生活史は、どれも珠玉の話ばかり。人生、商売、未来に向けたヒントもある。その上、本の出版、クラウドファンディングとどれも民商初挑戦の作業に、みんなめちゃめちゃ、意気込んでます」と語ります。

 同民商の事務局長で、編集委員の山元歩美さんは「この本を通じて、小規模事業者の人たちやこれから事業を始めたいと思っている人たち、そうした人を応援したいと思っている人たちとつながることができればうれしい」と話しています。

 クラウドファンディングの締め切りは11月21日(月)まで。1口5000円から。リターンとして、『京都・中京民商の生活史』1冊ほか。申し込みは、https://camp-fire.jp/projects/view/624567?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=tw_po_share_projects_showから。問い合わせ☎075・231・0101(中京民商)。