コロナ禍のもとで、学費が払えないなどの経済的理由で休学・退学を余儀なくされた学生が相次いでいることが、京滋地区私立大学教職員組合連合(京滋私大教連、黒田学執行委員長)が10月20日に発表したアンケート調査結果で明らかになりました。

 アンケート調査は、今年7月から8月まで京都、滋賀の32大学・短期大学を対象に行い、15大学から回答がありました。質問項目は、昨年度における▽経済的困難を理由に休学・退学した学生数(大学院生を除く)▽国の学生への経済支援・感染防止策に対する要望など。

 回答では、休学・退学者は、15大学の合計で、休学者711人、退学者301人でした。

 ある大学では、「休学者は2019年度比で増加しており、コロナ禍による経済的困窮を理由とする者は増えている」として、コロナ禍の影響によるものは、経済的困窮による休学者23件のうち12件(52%)、退学者32件のうち5件(16%)だったといいます。遠隔授業に不満を持ち、意欲を低下させ休学する事例が多く発生したとする大学もありました。

 国に求める学生への支援策に関しては、昨年度から「大学等就学支援新制度」が始まったものの、所得制限が380万円以下となっているほか、制度開始に伴い所得約800万円以下の学生まで認められていた各大学実施の学生支援策に対する国の助成が打ち切られたことから、私立大学の学費負担が困難な所得600万円以下の世帯への支援や大学院生への支援策を求める声が出されていました。

 また、感染症対策については私立大学への支援策がなかったことから、支援を求める声が上がっていました。

 佐々江洋志書記長は「1000人を超える学生が経済的困窮により休学・退学に追い込まれていたことは予想外だった。国は支援対象をもっと広げ、予算額も増やすべき。根本的には、所得に関わらず、誰もが安心して大学に行けるよう、私学助成を大幅に増やすべき」と話しています。