仁和寺門前のホテル計画地(京都市右京区)
市は「雇用創出の貢献」と強弁

 京都市の「上質宿泊施設候補」に選定された仁和寺(京都市右京区)門前の大規模ホテル計画をめぐり、市が18日から、事業主・共立メンテナンス(東京都)の競争入札参加資格を停止していることが分かりました。中央労働委員会が先月、同社の不当労働行為に是正命令を出したことを受けてのものです。その一方で、市は21日の市議会代表質問で、「安定した雇用創出に貢献する計画」などと述べ、選定を取り消す考えのないことを表明。違法行為を行う“ブラック”企業の計画を容認、推進する姿勢を示しました。

 共立メンテ社の不当労働行為は、大阪府守口市から業務委託(2019年度から)を受けた学童保育事業でのこと。労働組合と団体交渉を拒否したことで、中央労働委員会が今年4月26日、同社に不当労働行為救済命令を出していました。

 これを受け、同社に対して、京都市は「法令等違反」を理由に、5月18日から2カ月以上で違反が是正されるまでの間、物品関係での競争入札資格を停止しました。既に、大阪府は1カ月間(5月13日~6月12日)の入札参加資格を停止しており、全国の自治体に同様の措置が広がる可能性も出ています。

共産党「選定取り消しを」

 日本共産党の堀信子議員は市議会代表質問(21日)で、市が「(事業主が)違法な場合はその点を踏まえて検討する」と答弁(20年6月26日、産業交通水道委員会)していたことを挙げ、「選定は取り消すべき」と追及しました。

 これに、市は開き直りの答弁に終始。「選定」に当たり開催した有識者会議(3月31日)には、「事業主の行った他都市で事案を説明しており」問題ないとし、「その上で雇用に貢献することを確認して選定した」と説明。違法な事業者の選定を取り消す考えのないことを強調しました。