府内大企業10社が発表した2020年度決算(今年3月期発表の決算短信)で、内部留保(資本剰余金と利益剰余金の合計)額が合計で9兆2319億円へ膨れ上がったことが本紙調査で分かりました。コロナ禍で飲食、観光、製造業など幅広い業種が大打撃を受ける中、大手製造企業を中心に巨大なもうけを溜め込んでいます。識者は「内部留保の溜め込みはこの20年間に及ぶもの。もうけを上げた大企業への課税とともに、コロナ対策としても内部留保を還元させることが必要」と指摘します。

 10社だけで前年から6070億円増加し、過去最大規模の増加となっています。

 最も内部留保を積み上げたのは「任天堂」(京都市南区)の2兆84億円。コロナによる巣ごもり消費を追い風に「Nintendo Switch」と関連ソフトが好調で、当期純利益は4803億円(前期比85・7%増)と、12期ぶりに過去最高を更新し、内部留保額でも府内トップとなりました。

内部留保が2兆円超となった任天堂(京都市南区)

 次は、売り上げ高や営業利益が過去最高となった「村田製作所」(長岡京市)の1兆9075億円。次いで「京セラ」(京都市伏見区)の1兆8730億円、「日本電産」(京都市南区)の1兆1218億円と続きます。この上位4社のみで、計6兆9107億円にのぼります。

 1年間で最も内部留保を増やしたのは、「任天堂」の2862億円で、次が「村田製作所」の1699億円でした。

 内部留保を減らしたのは売り上げ高が落ちた「ローム」(京都市右京区)とワコール(京都市南区)の2社でした。

コロナ長期化、倒産3年ぶり増に

 帝国データバンク京都支店が4月に発表した、20年度の府内の倒産件数は3年ぶりの増加となる246件。負債総額も前年比25・4%増の192億8900万円となりました。同支店によると、「サービス業」「小売業」「製造業」など幅広い業種で負債総額が増えているとし、コロナ禍の長期化が「地域経済に大きなダメージを与えている」「資金面の支援を得られない企業の倒産が今後増加する可能性は高い」などとしています。

 財務省が昨年10月に発表した法人企業統計によると、2019年度の内部留保(利益剰余金)は金融業・保険業を除く全産業ベースで前年度比2・6%増の475兆161億円と発表しています。