劇団存続に向け活動する団員
2000万円目標、出資者にはリターン品も

 コロナ禍で、存亡の危機に立つ京都の老舗劇団「人形劇団京芸」(劇団代表=谷ひろし、法人代表=清水正年)は、劇団存続に向けて1月8日からクラウドファンディングを行っています。寄付も受け付けています。

 「(創設者の)谷(ひろし)さんや(辰)巳(鈴太郎)さん、先輩に、人形京芸なくすなんて言えるわけないやろ」「公演を待ってくれている人もおる」「みんなで出来るところまでやろうや」

 劇団解散か存続かを議論した昨年10月の臨時総会。議論の末、存続方針を決定し、クラウドファンディングを実施することにしました。

 年々、保育所や学校の公演が減少し、経営が厳しい状況にある中、コロナ禍が直撃。かき入れ時の春季の公演がほぼ中止・延期。8月には、一昨年の70周年記念に海外でも活動する作・演出家・くすのき燕を演出に迎えて制作し、好評を博した『あっちこっちサバンナ』の東京公演で起死回生を狙い、チケットもすぐに完売でしたが、中止になってしまいました。

 4月から9月の収入は、例年の9割減となり、年間収入の半分にあたる2000万円が失われました。行政の補助金、京都人形劇センターによるプロ人形劇団存続に向けてのクラウドファンディング、地元銀行からの新たな借り入れなどでつないできましたが、このままでは、劇団の土地・建物を売却しても借金返済が厳しく、劇団員が負債を背負うことになりかねない事態も現実味をおびてきました。

 臨時総会では、経営陣が財政状況を率直に報告。劇団員からは、入団時の初心とともに、出演するキャラクターの心情や性格、生き様をていねいに掘り下げてドラマ化してきた人形劇団京芸の芸風を守り発展させていく決意が語られました。

谷ひろし代表のプラン画を特注印刷したパネル

 クラウドファンディングは2000万円を目標に3月21日まで実施。出資者にはリターン品を届けます。「CAMPFIRE」のホームページもしくは、人形劇団京芸のホームページの「トピックス」「活動へのご支援のお願い」から入ることができます。リターン品を届けます。

 リターン品21種類。観劇券や、作って遊べる人形キット、劇団マスコット「きょうべー」のトコトコ人形、人形劇のお祝いメッセージ動画、谷ひろし代表の原画の複製やプラン画を布に特注印刷したパネルなどです。

 法人代表の清水氏は「公演を楽しみに声援を送ってくれた観客の皆さまの熱いエネルギーに勇気づけられ、自分たちにとっての『人形劇』というものを確信し、前に進む決断をしました。どうか力を貸してください」と話しています。

 クラウドファンディングのホームページ(https://camp-fire.jp/projects/view/354217)。本人登録などが必要。支援手続きなどの問い合わせ☎0774・21・4080。メールnabekurakyougei@gmail.com(人形劇団京芸)。

 人形劇団京芸 レッドパージを受けた谷ひろしらによって、1949年に劇団京都芸術劇場として創立。60年、人形劇団京芸、劇団京芸としてそれぞれ独立。75年には東京大空襲を舞台にした映画『猫は生きている』に出演。97年には『モモ』で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。70周年の2019年、『あっちこっちサバンナ』で新機軸を築く。団員約20人。

「週刊京都民報」1月24日付より