美山診療所

職員数約50人→約20人に削減方針

 南丹市が4月から直営化する同市美山町の「美山診療所」をめぐり、同市は直営化後の職員数を現在の半分以下とする見通しを示しています。これに対して、現職員や住民からは、全職員の雇用維持を求める声が上がっています。

 現在、職員数は約50人ですが、同市は直営化後の数は約20人としています。また、職員採用は「公務員の募集であり、公平性を期すため」として、新たに募集しています。

 美山診療所労働組合は1月12日、京都医労連と連名で、診療所機能の維持と職員の雇用継続を求め、診療所の現運営法人「美山健康会」に申し入れました。近く南丹市に対しても同様の申し入れを行う予定です。同労組の早川奈保美委員長は、「まず地域住民の命と健康を守るためには、現在の機能維持が必要で、そのためにも現雇用の継続を求めています。現状、職員数が大幅に減ることから職員の間に動揺と不安を生んでいる」と語ります。

 直営化をめぐり、同市が老健施設廃止を決めたことから、地元住民からは「現機能維持」を求める声が大きく広がり、「美山の医療を守る会」が呼び掛けた機能維持を求める署名は、町人口の6割超に達しました。

 署名の要求には、「現職員の雇用維持」も含まれています。同「守る会」事務局の武田勝さんは、「現機能の維持のためには、現職員全員の雇用維持が欠かせない。老健を廃止し、約20人の診療所を新たに作るのは署名に託された願いにまったく応えていない」と訴えます。

 同市は、老健廃止を明言する一方、通所・訪問リハビリと訪問看護は継続するとしています。しかし、新たな運営体制について明確に説明しておらず、全職種の募集人数を「若干名」としています。

20人ではマンパワー不足、市の理解に疑問

 同市が想定している診療所の運営体制について、早川委員長は、「まず20人ではマンパワーが不足しており、市がいう業務を行うには不十分だと思う。結局、20人で可能な業務だけ行うことにならないかと懸念している」と語ります。

 また、同市は、現在勤務している介護士は募集せずに、非正規の「介護助手」を採用予定です。薬剤師については新たな募集はしていません。

 早川委員長は、「通所リハでの入浴介助などを行っている介護士は国家資格を持っており、これを介護助手に置き換えることは専門性を侮辱していることになる。薬剤師は調剤だけでなく、患者宅を訪問し、状態をみて薬の飲み方をサポートするなどしています。南丹市は、現在の業務の中身や職員の果たしている役割について、十分に理解していないと思わざるをえない」と語ります。

「週刊京都民報」1月24日付より