今西久美子候補

「学校統廃合」白紙撤回し住民と議論

「談合・収賄事件」徹底検証で清潔町政に

 宇治田原町長選挙(1月26日告示、同31日投票)は、現職の西谷信夫氏(61)と「宇治田原町政を刷新する会」共同代表で前町議の今西久美子氏(59)との一騎打ちの様相。町の元幹部職員による談合・収賄事件を受けて疑惑の全容解明にどう臨むかが問われるとともに、庁舎建設の強行や学校統廃合計画の強引な推進など、住民の声を聞く町政か、聞かない町政かが争点となっています。

町長自身の処分はなし

 談合・収賄事件をめぐって、西谷町長は、起訴された元幹部職員を町政の中枢にすえ「特命担当」として新市街地整備事業などの建設事業を担当させてきました。逮捕後の記者会見でも「すぐれた人物」と持ち上げてきました。町長の任命・監督責任が問われるにも関わらず、自らの処分は一切行っていません。

 また、第三者による調査委員会は設置したものの調査対象は、起訴容疑となっている1件のみ。今西候補は、特命担当として多くの建設事業を任せた町長の任命責任が問われると指摘。第三者委員会の調査対象についても、起訴案件にとどまらず、過去にさかのぼり、一定額以上の入札や契約についても調査・検証を行って、清潔・ガラス張りの町政にし、透明性の高い入札制度改革に取り組み再発防止に努めるとしています。

 町政運営をめぐって西谷町政は、住民の声を聞かず事業を強行してきました。昨年に完成した新庁舎建設にあたっては、国道307号から都市計画道路宇治田原山手線(略称=「山手線」)に通じる南北線沿いに4つの候補地を設定。国道から約1キロも離れ、市街地から最も遠く、井手町の山砂利採取業者が所有する山林の土地に決定しました。

 同地は山砂利を採取したのち、建設残土などを埋めた軟弱地盤。建物を支えるために30メートルを超える杭を数多く打ち込み、それでも杭の長さが足らず、追加工事が行われました。購入単価も、より利便性の高い他の土地の公示単価の倍以上で買収するなど、町民から地権者の業者と町の関係を疑問視する声が上がっていました。

 住民も「新庁舎を考える会」を発足。日本共産党議員団、同町支部とともに、埋め立て地が地震の際に液状化する危険性や利便性の悪さを指摘し、建設場所の再検討を求めましたが、町長は聞き入れませんでした。

 学校の統廃合については、文部科学省の意向を受ける形で2004年、府教委指導主事や同町立中学校長を務めた元教育長のもとで、同町での小中一貫教育を目指す宇治田原町小中学習推進委員会が発足されスタート。

 小中一貫校の設置については教育委員会内の議論に留まっていましたが、西谷町長2期目の17年、町長を責任者とする法改正による総合教育会議のもとで、町民にまともな説明もなく小学校2校を廃校にし、中学校周辺地に施設一体型の小中一貫校として建設する方針を決定。24年開校などの計画をトップダウンで決定してきました。

 住民は学習会「町の未来を見つめるつどい」を開き、同つどい実行委員会として教育委員会に質問状を提出し、懇談。住民合意のない学校統廃合の白紙撤回を求める署名にも取り組み、昨年12月までに約1800人分の署名を町に提出しました。

 批判の高まりを受けて西谷町長は15日のマニフェスト発表の記者会見で、小中一貫校の開校時期や内容については、検討すると言い始めています。

通学バス代の全額補助復活

 今西候補は、議員として学校統廃合に反対し、白紙撤回に向けて住民と運動してきました。立候補にあたって、「合意のない学校統廃合は白紙撤回」とし、住民と議論するとの政策を掲げています。

 また、西谷町長は、新庁舎建設や隣地の都市公園や周辺道路整備などに多額の税金を投入。昨年、「財政が厳しくなった」として住民の運動で実現した高校生の通学バス代全額補助を半減。敬老祝い金の削減も計画しています。来年度予算では住民の暮らしや福祉にかかわる予算の10%削減を発表しました。

 今西候補は、高校生の通学バス代全額補助の復活、敬老祝い金削減の中止、子育て支援や教育・福祉施策の充実・暮らしを守る町政の実現、山手線の早期開通―などを政策に掲げています。

「週刊京都民報」1月24日付より