high&dry:田中和人展 11月14日(金)~11月30日(日)11時~19時(月曜休。金曜20時まで、最終日18時まで)、ギャラリー・パルク(京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48三条ありもとビル2F。地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩3分)TEL075・231・0706。
 田中和人(1973年・埼玉県生まれ)は、1996年に明治大学商学部卒業後、会社勤務を経て渡米。2004年にSchool of Visual Arts(N.Y.)を卒業後、京都に拠点を移し、写真作品を中心に制作・発表を続けています。2007年に『mio 写真奨励賞』入選、2011年には『TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2011』を受賞するなど、写真領域での活動と評価に加え、近年では展覧会企画などにも積極的に取り組むなど、より横断的な制作・展開に取り組んでいます。
 田中はおもに「具象と抽象」あるいは「写真と絵画」の「境界」をテーマとして、これまでの作品はその一貫した興味を明確に示しているといえます。
 色鮮やかな玩具のブロックをボカシて撮影した《blocks》(2008~)のシリーズは、そこに平面的な色面構成の妙とともに、都市空間のようなイメージをも描き出しています。金箔を通して(フィルタとして)風景を撮影することで、そこに青白い光に満ちた世界を描き出した《GOLD SEES BLUE》(2009~)は、写真をドキュメンタリーから解放し、イメージを具象と抽象の狭間にとどめる事で、そこに現実と紐づいた絵画的・抽象的な世界の姿を表出させています。
 《Untitled Composition》(2011~)ではそれまでのフォーカスやフィルタといったアナログ的なアプローチに加え、モザイクや拡大といったデジタルによるアプローチにより、対象を分解・再構成するプロセスを試み、《after still》(2011~)においてはカメラの代わりにスキャナーを用いて、光と色をまるで絵画を描くかのように扱っています。またここに内在している「抽象化・デジタル・分解と再構築・絵画と写真の領域」といった諸要素は、既存の絵画作品の画像をインクジェットによって特殊紙にプリントし、そのインクが乾かないうちに絵筆で直接画面に介入し、そこに絵画と写真、具象と抽象の狭間に起こるモーメントを写真として定着させた《Ghost of Modern Art》(2012~)へと展開しており、田中にとってこれまでの作品に見られる個々の興味と探求は、都度の気付きを次の新たな着眼点としながら、同時期や以後の作品に引き続き指向され、補完的・発展的に展開しているものといえます。
 関西では久しぶりの個展となる本展は、その展覧会タイトルを「 high & dry 」(=〈船が〉岸に乗り上げて、〈人が〉取り残されて)として、田中の新作《high & dry》を中心に、これまでの13~15にわたるシリーズから100点以上の作品によって構成するものです。
 そのテーマへの探求と可能性を見る本展では、「絵画」と「写真」あるいは「新作」と「過去作」といった「相対」の構造は消失し、すべてはより複雑に、よりシンプルな「総体」となって空間に展開されることとなります。
 ミクロ的には新作《high & dry》において新たに・再び試行されている「具象と抽象」 「写真と絵画」をめぐる探求の差異と進化について。マクロ的には一貫したテーマへの取り組みであるこれまでの作品群において、それらを「同一性の中の揺らぎ」として俯瞰し、その共振により現われた波紋をこそ、田中和人の現時点での「抽象」として示すものです。
 問い合わせTEL/FAX075・231・0706(ギャラリー・パルク)。

https://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20141114-02.jpghttps://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20141114-02-150x150.jpgkyomin-minpo画廊・ギャラリー 11月14日(金)~11月30日(日)11時~19時(月曜休。金曜20時まで、最終日18時まで)、ギャラリー・パルク(京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48三条ありもとビル2F。地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩3分)TEL075・231・0706。  田中和人(1973年・埼玉県生まれ)は、1996年に明治大学商学部卒業後、会社勤務を経て渡米。2004年にSchool of Visual Arts(N.Y.)を卒業後、京都に拠点を移し、写真作品を中心に制作・発表を続けています。2007年に『mio 写真奨励賞』入選、2011年には『TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2011』を受賞するなど、写真領域での活動と評価に加え、近年では展覧会企画などにも積極的に取り組むなど、より横断的な制作・展開に取り組んでいます。  田中はおもに「具象と抽象」あるいは「写真と絵画」の「境界」をテーマとして、これまでの作品はその一貫した興味を明確に示しているといえます。  色鮮やかな玩具のブロックをボカシて撮影した《blocks》(2008~)のシリーズは、そこに平面的な色面構成の妙とともに、都市空間のようなイメージをも描き出しています。金箔を通して(フィルタとして)風景を撮影することで、そこに青白い光に満ちた世界を描き出した《GOLD SEES BLUE》(2009~)は、写真をドキュメンタリーから解放し、イメージを具象と抽象の狭間にとどめる事で、そこに現実と紐づいた絵画的・抽象的な世界の姿を表出させています。  《Untitled Composition》(2011~)ではそれまでのフォーカスやフィルタといったアナログ的なアプローチに加え、モザイクや拡大といったデジタルによるアプローチにより、対象を分解・再構成するプロセスを試み、《after still》(2011~)においてはカメラの代わりにスキャナーを用いて、光と色をまるで絵画を描くかのように扱っています。またここに内在している「抽象化・デジタル・分解と再構築・絵画と写真の領域」といった諸要素は、既存の絵画作品の画像をインクジェットによって特殊紙にプリントし、そのインクが乾かないうちに絵筆で直接画面に介入し、そこに絵画と写真、具象と抽象の狭間に起こるモーメントを写真として定着させた《Ghost of Modern Art》(2012~)へと展開しており、田中にとってこれまでの作品に見られる個々の興味と探求は、都度の気付きを次の新たな着眼点としながら、同時期や以後の作品に引き続き指向され、補完的・発展的に展開しているものといえます。  関西では久しぶりの個展となる本展は、その展覧会タイトルを「 high & dry 」(=〈船が〉岸に乗り上げて、〈人が〉取り残されて)として、田中の新作《high & dry》を中心に、これまでの13~15にわたるシリーズから100点以上の作品によって構成するものです。  そのテーマへの探求と可能性を見る本展では、「絵画」と「写真」あるいは「新作」と「過去作」といった「相対」の構造は消失し、すべてはより複雑に、よりシンプルな「総体」となって空間に展開されることとなります。  ミクロ的には新作《high & dry》において新たに・再び試行されている「具象と抽象」 「写真と絵画」をめぐる探求の差異と進化について。マクロ的には一貫したテーマへの取り組みであるこれまでの作品群において、それらを「同一性の中の揺らぎ」として俯瞰し、その共振により現われた波紋をこそ、田中和人の現時点での「抽象」として示すものです。  問い合わせTEL/FAX075・231・0706(ギャラリー・パルク)。京都のイベントの最新情報がわかる京都イベントナビ