府労委の団交命令は適法 京都市の訴え棄却・京都地裁/児童館・学童の職員労組申し立て「実質勝訴」報告集会で喜びの声

京都市の児童館・学童クラブの職員らでつくる全国福祉保育労働組合京都地方本部との団体交渉に応じるよう市に命じた京都府労働委員会の命令は違法として、市が取り消しを求めていた裁判で、京都地裁(齋藤聡裁判長)は7月24日、市の請求を棄却し、市の使用者性を一部認めた府労委の命令は適法との判断を下しました。同日開かれた報告集会で、同労組は「実質勝訴」と喜びの声を上げました。
同労組は、市を実質的使用者として、30年以上継続して団体交渉を行ってきました。ところが、市が2020年に突然、団交を拒否。救済申し立てを受けた府労委は22年6月、一部の職員について市が使用者に当たるとして、団交に応じるよう命じました。しかし、市は命令の取り消しを求めて提訴。また、裁判の結果が出るまでは、市は府労委の命令に従う必要があるにもかかわらず、現在も団交を拒否し続けています。
判決では、市の訴えを退け、府労委命令の裁定を維持しました。判決後、京都市内で行われた報告集会には、組合員や支援者ら60人が参加し、判決を喜び合いました。
弁護団の大河原壽貴弁護士は「府労委が、直接雇用ではなく委託先の労働者に対し、市の使用者性を一部だが認めたことは画期的で、その命令を地裁が維持したことで、裁判は実質勝訴」と述べました。
同労組の学童保育・児童館支部の大西良武委員長は、「市の団交拒否から5年という、長いたたかいになった。支援に感謝したい」と述べました。併せて「団交を一刻も早く再開し、労働条件や学童クラブの施設改善など、働く者、子どもたちの要求を実現させたい。仮に市が控訴しても頑張っていきたい」と決意を述べました。
「団交に応じよ」共産党市議団、労組が京都市に申し入れ
判決を受け、同労組、日本共産党市議団は7月28日、それぞれ松井市長宛てに、「控訴せず、団体交渉に応じるよう」求める申し入れを行いました。市議団の申し入れ書では、「市が団交に応じないという不当労働行為を行った上に、府労委の命令にも従わないという市の不当性が明らかになった」と指摘。前市長のもとで行われた「誤った判断をきっぱり清算するよう」求めています。
市は同日、大阪高裁に控訴する方針を明らかにしました。7月議会に控訴に必要な議案を提案する予定です。