開示請求で入手した勤務時間表。右が伊丹市、左が京都市。修正時間、欠勤、有給は全く同じで筆跡も同一と推測されます

本紙調査で判明 勤務時間表計141枚が伊丹市提出分と同一

 京都市の新型コロナウイルスワクチン接種のコールセンター業務の委託料をめぐる不正請求で、本紙の調査で新たに約4000万円の不正請求の疑いがあることが判明しました。この問題では、受託した「日本トータルテレマーケティング」(NTM、東京都)が10日、不正額が約7億5000万円に上ったとの外部調査委員会の中間報告を明らかにしたばかり。本紙が、同委員会の調査が未着手となっている昨年9月分~12月分までを調査したところ、NTMが伊丹市で受託した同業務の勤務時間表を京都市の勤務時間表として偽造した疑いが濃厚となっています。

 NTMは2021年2月~23年3月まで、京都市でのワクチン接種の予約受け付け業務などを受託。今年、NTMや市の調査で不正請求が明らかになり、NTMは8月までに約5800万円を市に返還しました。

 さらに今月(11月)10日、NTMが設置した外部調査委員会の中間報告によると、22年8月分までで約7億5000万円の不正請求が判明。他の自治体の勤務時間表を京都市の勤務時間表として偽造し、京都市に提出する隠蔽工作をしていました。

 今後、残りの22年9月以降の分についても調査委員会が調査し、年内に最終報告を公表することになっていました。

2022年9月~12月分を独自に調査

 本紙は昨年9月~12月分について調査を実施。NTMが20年度~22年度までに、22の地方自治体、そのうち近畿圏で京都、伊丹、門真の3市でワクチン接種のコールセンター業務を受託(市議会委員会資料)していたことから、伊丹、京都両市に提出された勤務時間表を情報公開請求で入手。京都市で計2335枚、伊丹市で計214枚の突き合わせをしたところ、今回の疑惑が判明しました。

 勤務時間表は、両市ともNTMの用紙が使用され、各月ごとに、記入者の氏名、出勤日、勤務時間などが記入されています。氏名、確認者の印などの個人情報は黒塗りとなっているものの、勤務時間表に記入された始業時間、終業時間、休憩時間、修正箇所、有給、病欠などの勤務状況や筆跡が同じものが、計141枚(9月44枚、10月23枚、11月42枚、12月32枚)発覚。勤務時間数を計算すると総時間数約1万6700時間に達します。伊丹市の勤務時間表の文字は濃く、京都市の方は非常に薄いため、伊丹市のものをコピーし、京都市に提出したものとの推測でき、京都市の時間単価2400円から計算すると不正請求額は約4000万円に上ることになります。

NTM社回答で疑惑否定せず

 今回判明した件について、NTMと京都市に事実確認のための文書を送付し、回答を求めました。NTMは「外部調査委員会の最終報告を受け、京都市に説明後、(結果を)速やかに公表する」と回答し、疑惑を否定しませんでした。京都市は「京都府警と協議を続けており、捜査に支障が出る恐れがあるため、回答は控える」と回答しました。

(週刊京都民報2023年11月26日付より)