4000万円の不正請求の疑いを報じた本紙11月26日付

 京都市の新型コロナウイルスワクチン接種のコールセンター業務の委託料をめぐる不正請求で、本紙が受託業者「日本トータルテレマーケティング」(NTM、東京都)が市に提出した資料を独自調査したところ、昨年9月以降分に約4000万円の不正請求疑惑があると報じた問題で、市は12月5日、市も同月以降分に不正請求の疑いがあると認識していることを明らかにし、さらに不正請求額が膨らむ可能性があるとしました。

 本紙が報じたのは、NTMが伊丹市で受託した同業務の勤務時間表を京都市の勤務時間表として偽造し、不正請求を行ったのではないかという疑いです(写真)。

 市は市議会環境福祉委員会で、不正請求をめぐるこの間の経緯について報告をしました。その際、今年7月、NTMが提出した資料の精査を行ったところ、昨年9月以降分について「他の自治体の同業務の勤務時間表が混入し、不正請求が行われている疑いを覚知していた」と説明。ただし、NTMによる証拠の隠滅などを避けるため、「議会に報告してこなかった」と釈明。NTMから同疑惑について調査中との報告を受けたため、「今回、明らかにした」と述べました。

 現在、NTMの外部調査委員会がまとめた「中間報告」で明らかになった不正請求額は約7億5000万円です。しかし、市はさらに不正請求の疑いがあるとしました。

 日本共産党の冨樫豊議員は「事件の発端は内部告発によるものだ。NTMの報告について、全て検証する必要がある」と指摘。さらに、「議会としても真相究明へNTMの社長、役員らの参考人招致や特別委員会を設置するなど、特別な対応を行うべき」と述べました。

調査対象期間の説明“二転三転”

本紙追及恐れ言い逃れ対応か

 12月5日の環境福祉委員会では、NTMが不正請求の調査対象期間について、京都市への説明を二転三転する不自然な対応をとっていたことが明らかになりました。

 同社は当初、契約期間満了の「23年3月まで」を対象として、不正請求があったのは「22年8月分以前」とする外部調査委員会の中間報告を市に説明していました。ところが、11月10日に同社が行った中間報告の記者会見では、調査対象期間を「22年8月まで」として、22年9月以降については「調査中」と答えました。

 同社は会見後に市から指摘を受けて、この発言を撤回し、調査対象期間を改めて「23年3月まで」と訂正していたことが冨樫議員の質疑で判明しました。

 本紙は11月26日付で、22年9月~12月分について新たに約4000万円の不正請求の疑いがあることを、独自調査をもとに報道。同社には11月8日(記者会見の2日前)にメールで質問を送っていました。

 同社の一連の対応は、市への説明では不正請求があったのは「22年8月まで」としながら、22年9月以降も不正請求の疑いがあることを会見の場で追及されるのを恐れてのことだったと推測されます。