被害を止める「第三者」の行動呼びかけ

 京都女子大学(京都市東山区・竹安栄子学長)の学生が、電車・構内での性犯罪をなくそうと、その場に居合わせた人にできる行動を促す、新たなポスターを作成し、同大学内で12月17日、記者会見を行いました。

 被害者に自衛を求める従来のポスターに違和感を覚え、昨年、痴漢は性暴力であり人権侵害だとの認識を広げることを重視したポスターを府警や阪急電車と協力して作った学生から、バトンを引き継ぐ形で、新たな学生メンバーが取り組んだものです。

 市川ひろみ法学部教授の「平和と女性」の授業で、前年のポスターを作った学生がポスター作りの意義を語り、参加希望者を募ったところ、学部の違いを越えて5人の学生が参加しました。

 今回のポスター(写真下)は、事件の場に居合わせた第三者が性暴力防止の役割を果たす「アクティブバイスタンダー(積極的に被害を止める第三者)」という考え方を意識し、被害者に寄り添う姿勢と性暴力をなくすために第三者にできることを伝えるメッセージを押し出す内容です。

 2枚のデザインが連動した形式で、標語は「痴漢・盗撮を目撃した時、私達にできること」に統一。ポスターに込めた思いを「傍観者意識をなくしたい、ジェンダー平等な社会、被害者を責めることのない社会、などをつくりたいと考えた」と紹介しました。

 新しい試みとして、携帯電話の画面に「だいじょうぶですか 声をかけましょうか?」とのメッセージを表示し、被害者に見せて意思確認できるデータを作成。ポスターに掲示したQRコードからダウンロードして使用できるように工夫しました。このデータを「かいにゅうさん」とネーミング。片山真波さん(4回生)は、「性暴力の場面に限らず、困った人に声をかけられるツールとして役立ててもらえれば」と、普及に期待しています。

 学生らはポスター制作を通じて、「自分が事件に遭遇したら面倒という人ごとの感覚があったと気づいた。意識を変え、行動する大切さを学んだ」「私たちがより良い社会をつくる主体であり、連帯してジェンダー平等の社会をめざしていけると実感した」などと感想を語りました。

 今回は京阪電鉄と協力し、計1600枚のポスターを制作。京阪電鉄では、来年1月中旬から、約45の全駅、全車両で掲示する予定です。

 会見には、竹安学長、昨年からポスター制作に関わる市川教授、昨年のプロジェクトチームの学生らが参加し、あいさつと報告を行いました。