吉村良和さん

 京都府知事選挙(4月)で、北陸新幹線延伸問題が争点として問われましたが、投票率が低く、残念な結果でした。

 どうしたらもっと関心が広がるかと、SNSで発信したり、出会う人たちに「北陸新幹線京都延伸を考える市民の会」のちらしを渡したりしています。地下水を使っている祇園の料亭や得意先、沿線の自治体幹部などにも声をかけ、計画に賛成の人にも意見を聞いています。まだまだ計画自体を知らない人も多く、知らせることが大事です。敷地内にある「醒ケ井」の水を汲みに来る人たちに、ボトルに水を入れている間に読めるようにと、目の高さに同じちらしを張り出し(写真下)、知ってもらうことに努めています。

 亀屋良長にとって地下水は、1803年の創業以来200年以上にわたり使い続けているかけがえのないものです。約60年前に四条通地下に造られた阪急電車の工事による影響で井戸が枯れ、30年前に地下80㍍まで掘りました。今の地下水は、中軟水でちょうど和菓子に合い、豆や米などを炊くと味や香りが引き立ちます。店内でも試飲できます。香りや甘さを感じていただけると思います。

 北陸新幹線延伸に工事費が2兆1000億円以上かかることや、すでに新幹線はあるのに、このルートになった理由、そしてアセスメントができないのに強行されようとしています。国や京都府、京都市は計画の内容を広く明らかにし、議論をする時間を作っていただきたいです。

 京都には〝愛すべきへんこ(頑固者)〟が多いです。家業に誇りを持ち、素材や味にこだわりがあります。京都府内を縦断する北陸新幹線延伸が今、果たして必要なのか、大いに議論すべきです。