『わが青春つきるとも』の一場面。労働争議を支援する千代子(右) ©2022映画「伊藤千代子の生涯」ゴーゴービジュアル

 山本宣治や小林多喜二らが活躍した1920年代、治安維持法による弾圧で24歳の生涯を閉じた日本共産党員の女性活動家・伊藤千代子(1905―29)を描いた映画『わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―』の京都初となる試写会が6月4日、京都市内で開かれ、約60人が参加しました。上映後、京都府内での上映運動成功へ実行委員会が結成されました。

 伊藤千代子は、諏訪高等女学校(現・長野県諏訪二葉高等学校)に進学し、歌人の土屋文明らに学びます。その後、東京女子大学に進学し、同大学社会科学研究会で活躍しました。1928 年2月、日本共産党に入党。翌月の三・一五事件の弾圧で検挙され、非転向を貫き、急性肺炎で亡くなりました。

 原作は治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟顧問・藤田廣登氏の『時代の証言者 伊藤千代子』(学習の友社)。監督は、『校庭に東風(こち)吹いて』のプロデュースを手掛けた桂荘三郎。千代子役は、新人の井上百合子で、夫役は窪塚俊介。土屋文明役で金田明夫、東京女子大学学長役で竹下景子、特高役で石丸謙二郎、老人役で嵐圭史らが出演しています。

 試写を見た京都市左京区在住の女性は、「政府によってメディアが萎縮させられるなど、戦前の翼賛体制のような状況に近づいていることを改めて感じた。憲法9条を擁護し、平和な社会であり続けるため、この映画を広めたい」と語っていました。

 上映実行委員会の結成では、参加者からは「治安維持法対する怒りがわいた。彼女らのたたかいの重みをかみしめ、映画を広めていきたい」「治安維持法による大本教の大弾圧が行われた亀岡で上映会を成功させたい」などの発言が相次ぎました。

 各地の上映会 ■

【亀岡】 7月19日(火)①午後1時②午後3時半③午後6時、ガレリアかめおか・響ホール。入場料1000円。問い合わせ☏0771・22・2585(原田)。 

【治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟京都府本部】 「平和のための京都の戦争展」(7月31日~8月7日、長浜バイオ大学京都キャンパス)の文化企画として上映。8月5日(金)・6日(土)①午前10時半②午後1時半。参加者に上映成功協力募金を依頼。問い合わせ☏090・8575・9851(薮田)。

【城陽・宇治】 ▽9月4日(日)午後2時、文化パルク城陽・東館4階▽11日(日)①午前10時半②午後2時、宇治市生涯学習センター。一般1300円(前売り1000円)、障がい者・学生・専門学生500円。問い合わせ☏080・6131・1265(藤原)、☏090・6552・6448(下島)。

【京田辺・宇治田原】▽9月17日(土)①午前10時半②午後2時、京田辺市商工会館・キララホール▽18日(日)午後2時、宇治田原町総合文化センターさざんかホール。一般1200円(前売り1000円)、学生500円。問い合わせ☏090・4641・8620(石野)。

上映実行委員会を結成し、府内での上映運動成功へ意見を交わしました