住民ら「存続求める会」 廃止条例の撤回目指す

 京都市が5月議会に提案した、市健康増進センター(ヘルスピア21)=南区=を今年度末で廃止する条例案をめぐり、6月1日の最終本会議で、日本共産党を除く各党は賛成多数で同条例案を可決しました。市議会や市に提出されていた存続を求める合計約5000人分の署名を無視し、強行可決しました。これを受け、住民らでつくる「ヘルスピア21の存続を求める会」は「廃止条例撤回を目指して今後も運動を続けていく」と訴えています。

利用者説明会、パブリックコメントも行わず

 ヘルスピア21は室内温水プールやトレーニングルーム、健康測定室などを備える施設。登録無料で一日利用もできるなど、民間施設に比べて低料金で、高齢者、妊婦や障害者なども幅広く利用できることから、コロナ禍前には年間10万人の市民が利用してきました。

 ところが、市は3月18日、老朽化で多額の修繕費が必要などとして、今年度末で廃止する方針案を提示。その後、利用者への説明やパブリックコメントも行わないまま、わずか2カ月後の5月議会に廃止条例案を提案しました。

 市の「廃止ありき」の強引なやり方に、地元住民らが「ヘルスピア21の存続を求める会」を発足。存続のための運動に取り組んできました。「会」と別のグループからも廃止方針撤回を求める請願と請願署名が市議会に提出され、市への要望署名と合わせると署名数は短期間で、計約5000人分に達しました。

 多数の署名を無視し、廃止条例案を可決したのは、自民党、公明党、日本維新の会、民主・市民フォーラム、京都党、立憲民主党と無所属です。日本共産党は、拙速で住民無視のやり方を批判し、継続審査を求める動議を提出。他党の賛成多数で否決されたため、反対討論を行いました。

相次ぐ公共料金値上げ、負担増に怒りの声広がる

 廃止条例案の強行可決を受け、「会」の代表の橘見治郎さんらは「市と市長与党に怒り心頭」と訴えます。その上で、「署名が広がった背景には、市の相次ぐ公共料金の値上げなど、市民負担増への怒りがあります。廃止実施の来年4月まで、市の横暴許さず、撤回に向けて頑張りたい」と話しています。

存続を求め今後も運動を続けると話す、橘さん(右から2人目)ら「会」のメンバー