広大な予定地を囲ったフェンスの前で話し合う住民と迫府議(右から2人目)、蔵田市議(左から手前2人目)

「住環境悪化に」計画中止求め住民組織発足

 京都市上京区の相国寺の北側で、客室数135室の大規模・高級ホテル建設計画が浮上し、周辺住民が猛反発していることが分かりました。一帯は閑静な住宅地で、ホテルが建てられない用途地域にもかかわらず、その規制を無視した計画に、住民らは「住宅地のど真ん中に脱法建築でホテルを建てるなどは許されない」「ホテル建設で住環境悪化は必至」と訴え、計画ストップを目指す構えです。

 計画地は相国寺の北隣の民有地で、2012年に移転した京都産業大付属中高の跡地。一帯は住宅地で、同志社大学や烏丸中学校、京極幼稚園などが並ぶ文教地区です。都市計画法に基づく用途地域は「第2中高層住居専用地域」で、ホテル建築は不可区域。そのため、規制緩和のための市の「上質宿泊施設誘致制度」の適用とともに、建築基準法に基づく市の特例許可を受けることを前提とします。

 事業者は三菱地所(本社・東京都)。市は既に、同制度適用を目指す事業者から相談を受けているといいます。

 計画によると、敷地面積は約1万2200平方メートルの広大な土地。地上3階、地下1階、高さは規制の15メートルよりも12メートルに抑えたとするものの、延べ床面積約2万1000平方メートルの大規模ホテルを建設。香港を拠点とする「ローズウッドホテルズ&リゾーツ」()グループの高級ホテルを誘致し、2025年度には開業を目指すとしています。

現在更地となっている1万2200平方㍍の計画予定地

 一方、計画地から半径100メートル以内に住む住民らが中心となって、「相国寺北ホテル建設計画を考える会」(準備会)を発足。住環境を守ろうと立ち上がっています。

 3月24、27の両日、三菱地所が開いた説明会でも、参加者から「ホテルが建てられない地域ではないのか」と計画自体を疑問視する意見が上りました。この他にも、通学路となっているホテル予定地北側の道路は幅5メートルしかなく、交通量増加による安全面を危惧する声や開発の影響による一帯の借地料の上昇を懸念する声などが相次ぎました。

 「会」の木尾昭文さんは「平穏に暮らしてきた住民にとっては、ホテル建設はデメリットしかなく、市もデメリットを認めている。特例許可することなどは許されない」と訴えます。

市が規制緩和でホテル呼び込み

 青笹哲夫さんも「誘致制度をつくり、規制緩和でホテルを住宅地に呼び込もうとする市の責任は大きい」と事業者だけでなく、市への怒りをあらわにします。

 元栄(もとえ)隆仁さんは「ホテルのために、京都の町並みや住環境が壊されていいのか。まちを守り未来に残していきたい」と話し、これからが頑張り時と意気込みます。

 日本共産党の蔵田共子市議や計画地の地元町内に住む同党の迫祐仁府議は「もうけ本位の計画は許されない。住民運動を応援し、力を合わせたい」と話しています。

 *16カ国で27のホテルを運営する国際的な高級ホテルおよびリゾート会社。国内では24年、沖縄県宮古島に初進出を予定。