亀岡市で開かれた調査団結団式(10月23日)

 亀岡市の生活保護の利用者数がこの間大幅に減少するとともに、昨年から希望者の申請に支援者らの同席を拒否するなどの事態が発生している問題で、実態解明と解決方法を明らかにするための調査団「亀岡市生活保護行政調査団」の結団式と学習会が10月23日、同市内で行われ、市民ら約70人が参加。調査団から、調査内容や調査結果をもとに年内に同市や京都府に申し入れを行うことなどが提起されました。

 調査団は研究者や弁護士、支援団体代表らが共同代表を務め、亀岡社保協、亀岡生健会などが事務局を構成しています。

 調査団の共同代表を務める尾藤廣喜弁護士が講演。尾藤氏は、生活保護制度は生存権を保障した憲法25条にもとづく「市民の権利」であるという原理・原則について詳しく解説。また、コロナ禍の昨年からは、厚労省が繰り返し、保護要件の緩和など制度の弾力的運用を通知している点を強調しました。

 「権利」であるにも関わらず、介護を苦にした殺人事件で、被疑者が生活保護の利用を「恥」ととらえていた事例を紹介。この意識の背景に、2012年に芸能人の母親の利用をめぐり、自民党の衆院議員が不当な生活保護バッシングを行い、マスコミも加担したことの影響を指摘しました。

餓死者生んだ北九州市より深刻

 05~07年にかけて窓口での「水際作戦」や違法な保護廃止などで餓死者を生むなどの事例が続発した北九州市では、年度ごとの保護の開始数と廃止数を同数にしていたことを紹介。亀岡市では過去5年間、廃止数が開始数を上回っていることを指摘し、「北九州市より深刻だ」という認識を示しました。

 同市の利用者減少(過去5年)について、「母子世帯」と「その他」(障害・傷病者以外の稼働年齢層)の減少が全国平均と比べても高いことを示し、「ここに狙いをつけている」と分析しました。

 共同代表を務める花園大学の吉永純教授は、母子世帯の減少をめぐり、「必ず子どもたちが苦しめられている。こんなことしていいのか」と訴えました。

 同席拒否をめぐり、制度に対する情報格差や力関係を背景に、「(一人では)まともに相手してくれない」と強調。だから支援者の同席は必要であり、「権利行使のために当然、認めないといけない」と強調しました。

 調査団の構成団体である「貧困と生活保護について考える亀岡市民の会」の中井和夫事務局長が調査活動について報告。11月27、28日の両日に、▽利用者らへの聞き取り▽情報提供もかねた電話相談の実施▽団地などでの訪問による聞き取り—などを行うと説明。また、希望者らとともに集団申請の実施も検討しているとしました。

 会場からの発言で、生活保護の利用者から、身体障害のため困難な状況のもと、求職活動を求められ、「できていない」と口頭指導もなく3カ月保護停止を受けた経験が報告されました。

 同席を拒否されている日本共産党の並河愛子市議は、10月11日、一転して同席が認められたと報告。この間、声を上げて取り組みを進めようとしてきたことが事態改善への一歩につながったと強調し、「一緒に運動を進め、不当な生活保護行政をあらためていきたい」と訴えました。