商品券やポスターを手にする(右から)馬渕さん、山川さん、山元さん
逆境のなか再建 スナック、割烹、カメラマン、ネイリスト…若手結集しアイデア

 コロナ禍のもと、多くの自営業者が苦境に立たされる中、頑張る若手自営業者たちがいます。営業と暮らしを守る団体「中京民商」(京都市中京区)の青年部のメンバーです。昨年、同青年部を再建。新たな活動としてプレミアム商品券「おこしやすチケット」を販売しています。お得な商品券で地域に還元しながら、業者同士で励まし合っていこうと意気込みます。

 民商(民主商工会)の青年部は、40歳未満の会員で構成する組織。しかし、中京民商青年部は、メンバーの高齢化と経営難が重なり、事実上、解散状態となっていました。

 その転機となったのが、逆風となるはずの新型コロナでした。同民商事務局が中心となって、コロナ禍でも経営を続けていくための各種給付金や支援金の申請相談や新たな事業起こしのための「経営計画づくり」学習会などを開催。SNSを使った開催案内に加え、チラシ計約3万枚を地域に配布して、宣伝してきました。

 この活動を通じて、約1年半で、50人以上が新たに同民商に入会。その中に、「せっかく始めた事業。コロナ禍でも商売を続けたい」と意欲を持った若手が集まってきました。

 現在、青年部のメンバーは13人。部長は、スナック「木屋町MICK」を経営するママ、馬渕ゆりさん(36)です。「誰もいないんやったら」と引き受けました。メンバーには、多種多彩な業種がそろいます。

 山川元気(はるき)さん(28)は、昨年1月に割烹「饗応 元(はじめ)」を開業し、「異業種の人たちと交流して、学びたい」と今年1月に入会しました。この他、ネイリスト、カメラマン、アクセサリー製造・販売業者などが加わります。担当事務局の山元歩美さん(38)も今年6月、同民商事務局長となった若手です。

中京民商青年部が考案したプレミアム商品券「おこしやすチケット」

 せっかく青年部を復活したのだから、「何かやろう」と始めたのが、今年7月から販売を始めたプレミアム商品券でした。政府の「Go To Eat」キャンペーンの金券は事業者が換金できるまでに長期間かかり、零細業者にとっては「死ねというようなもの」でした。「それなら民商で即、換金できて業者同士が助け合えるプレミアム券をつくろう」と青年部で話が進みました。

 部員らが協力をお願いして回り、参加・取り扱い店は、メンバーのスナックや飲食店の他に総菜店、ビンテージショップ、古書店など、会員外も含めて18軒が集まりました。取り扱い店の事業主は、お客さんが使った金券を他の取り扱い店での二次利用も可として、地域でお金が回るようにしています。

 商品券は100部つくって7月から販売を始め、既に残りわずか。「民商って、こんなことやるんだ」「いい企画」と好評です。

 「コロナ禍だからこそ、民商に入ってよかった」と山川さん。馬渕さんは「みんなで絆を深めながら頑張りたい」と言います。「青年部の挑戦を次につなげて、業者を応援する民商をもっと大きく」。山元さんは決意します。

 同商品券は、6000円分の金券を5000円で販売。券は売り切れ次第終了で、利用期間は12月10日まで。販売、問い合わせ℡075・231・0101(中京民商)。

【訂正】記事の一部を訂正しました(2021年11月5日午後3時)