京都府が京都市左京区の府立植物園の開発計画を進めていることに対し、同園の松谷茂元園長ら3人が10月5日、府庁内で会見し、「本来の植物園の姿とはかけ離れたものになる」と計画への懸念や問題点を表明しました。

 植物園の開発は、昨年末、府の「北山エリア整備基本計画」で位置付けられたもので、ステージや商業施設などを設置し、賑わい創出やアミューズメント機能を整備するとしています。

 会見には松谷氏と、金子明雄・元園長、西原昭二郎・前副園長が参加しました。

 松谷氏は、戦後、米軍が植物園を接収し、樹木が2万6000本から6000本まで伐採された状況から、市民が「公園化ではなく、純粋の植物園に」と声を寄せ、再開園した歴史を解説。今回の府の計画について、「植物園を公園化する計画。府民に長く愛されてきた植物園を賑わい創出の犠牲にしていいのか」と告発しました。

 植物園の使命は「世界の植物を栽培し、生きた姿のまま見てもらう、生きた植物の博物館だ」と強調。花を咲かせる機能を果たすバックヤードの重要性を述べ、「計画には、バックヤードと人材の確保の説明も一切ない。本来の使命が分かっていない。怒りに近いものを感じている」と述べました。

 金子氏は、植物園を囲う生け垣を伐採し自由に出入りする計画図について、「世界の植物園は頑丈な壁で囲まれ、防風効果もある。園内の植物にはすべて歴史がある。どうしてこういう計画をつくるのか」と憤りました。

 西原氏は、商業施設や賑わい施設の創設などについて、「本来の植物園の理念からはかけ離れている。植物園が府立大のアリーナの通路になってしまう」と語りました。