「小学校のような全員制の中学校給食をめざす連絡会」は9月18日、東京都立大学の阿部彩教授(子ども・若者貧困研究センター長)を講師にした学習・交流会を京都市内で開きました。

 開会あいさつで、「小学校のような全員制の中学校給食をめざす会@左京」の清原正人代表は、横浜市で新市長が公約した中学校給食が実施に向け動き出すことを紹介し、「取り残されているのが京都。学習し、全員制の中学校給食実現に向け活動を広げよう」と話しました。

 「子どもの貧困と食クライシス」と題して講演した阿部さんは、家計調査や食生活調査のデータを基に、子育て世帯の貧困状況と食を脅かす要因を分析し、コロナ禍の影響で貧困率がさらに高まる心配と、貧困率が小学生より中・高と年齢が上がるほど高くなると指摘しました。

 他国の例として米国では、義務教育の高校生まで、学校での昼食、朝食や夏期の支援策があることも紹介し、子どもの食の支援策を「家庭の問題」で片づけるのではなく、「給食という形で子どもに直接届けることが不可欠」と強調。まずは、中学校での給食実施率100%(現在85・3%)めざすことをあげ、「京都も横浜市に続く自治体に」と全員制給食を求める運動を激励しました。

給食アンケート 94%が「小学校のような給食」希望

 同連絡会からは、5月から始めた「京都市の中学校給食についてアンケート」の集約結果が報告されました。509人が回答し、中学校の昼食として望ましい方法に、「小学校のような全員制の給食」を希望する声が94・1%、現在の選択制弁当給食が3・5%でした。選択制のデリバリー弁当を利用したが「辞めた」理由で一番多いのが、「子どもが嫌がる」(72・7%)で、「クラスで食べる子が少ない」(複数回答)が多かったと紹介。記述式で寄せられた343人からの意見を紹介するとともに、今後、京都府・市に届ける機会を持つことも報告しました。

 意見交流では、「選択制の給食では、子どもは周りの目が気になり、精神的負担があることがわかる。全員制実施を急いでほしい」、「(講演を聞いて)中学校で早く公的支援が必要だと思った。高校まで食を保障している米国に見習い実施してほしい」などの意見が出されました。

 事務局から、京都市議会への請願提出、市長宛の新たな要望署名に取り組むなど、今後の行動予定が紹介されました。

 集会には、呼びかけ人の藤原辰史京都大学准教授がビデオで連帯のメッセージを述べ、オンラインを含めて約50人が参加しました。