城陽市が2018年2月に大規模複合文化施設「文化パルク城陽」(略称=文パル)をNTTファイナンス(本社・東京都港区)に売却し、賃借する契約を結んだ問題で、売却は地方自治法違反であり、契約は無効だと訴えた住民訴訟「文化パルク城陽売却許すな裁判」のたたかいを記録したパンフレット(A4判、47㌻)が、このほど完成しました。

 「文化パルク城陽売却許すな裁判」を支える会、文パル裁判報告編集委員会が編集したもの。住民4人が城陽市を相手に京都地裁に共同提訴した同年3月から、一審敗訴、高裁が控訴棄却、最高裁も上告棄却という不当判決を下した20年12月まで、3年弱の裁判闘争の記録を収めました。

 パンフレットでは、裁判をささえる会代表の岩佐英夫弁護士が、裁判の全国的な意味と城陽市政の問題点を解説。文パル売却問題は、前回(17年)市長選の争点の1つになり、「売却は事実無根」と主張して再選した現市長が同年12月議会に提案し決定された経過や、住民の意見を無視するその後の強引な市政運営についても分析しています。

 また、弁護団の杉山潔志弁護士、原告の皿木睦夫さん、岡本やすよさん、原告で故人となった開沼淳一さんの妻・恭子さんが、住民訴訟の成果や裁判の実態、今後の課題などを寄稿しています。 巻末には、故・開沼淳一氏が「議会と自治体」(19年5月号)に投稿した文書を掲載。「市民の財産である施設を、違法的な手段で民間に売り渡して市民の負担を大きくし、さらにその売却益で大型開発をしようとする城陽市の姿勢は、自治体本来の役割を大きく損なうもの」と批判していました。