発行した全4冊の書簡集を示す「革也研」メンバーら
旧岩崎邸の書簡すべての活字化を完了

 幸徳秋水と、堺利彦ら初期社会主義者と親交が深く、地域の名望家として活動を財政的に援助した京丹波町出身の岩崎革也(1869─1943)が、社会主義者らと交わした書簡を、南丹市立文化博物館と退職教員でつくる「京都丹波岩崎革也研究会」はこのほど、第4弾の書簡集としてまとめました。今回の書簡集で旧岩崎邸に残された全書簡の活字化を終えました。

 書簡集はA4判111㌻。書簡106通を活字化し、書簡の写真などの図版を掲載しています。今回の書簡集は、「社会主義者に留まらず、幅広い人物との交流がうかがえる」(同研究会)ものとなっています。

 社会主義者からの書簡では、岡野辰之助や久板卯之助らが活動への援助を依頼しており、「当時の社会主義運動の中で経済的な援助を期待されていた」(同研究会)ことがうかがえます。

 また、上田蟻善、一木幸之助、丹後平民倶楽部など京都の社会主義者らからの書簡もあります。上田は当時のスペイン風邪の流行に関し、「まことに金儲けと死病は辛きもの」と記しています。同研究会の田中仁代表は、「上田蟻善は後に京都市議も務めており存在は知られているが、書簡は人物像をうかがえる貴重な資料でもある」と語ります。

 また、河上肇、高島米峰(宗教学者)、宮崎民蔵(社会運動家)、恩師、友人ら多様な人物からの書簡も収録。福田英子の書簡には、福田を介した田中正造との交流の様子がうかがえるものもあり、革也の幅広い人物との交流を示しています。

 500円(税込、郵送代別途)。問い合わせ☎0771・68・0081(同博物館)。