稽古風景 提供:青年劇場

 関西唯一の米軍基地がある京丹後市丹後町を舞台にした青年劇場の公演『囲まれた文殊さん』が4月21日から30日まで、東京の紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演され、オンラインでも視聴できます。

 コロナ禍で疲弊した若い看護師・彩(原田真衣)。地元で無農薬農業の里づくりを夢見ている恋人・健一(安田遼平)から「コロナから離れてちょっと休んだら」と誘われ、東京から彼の故郷・京丹後市に行くと、豊かな自然が残るまちが米軍基地建設で揺れていました。元高校教師の健一の父・明彦(葛西和雄)が、無農薬農業をしている実(島本真治)と基地反対運動に取り組んでいる一方、母(島野仲代)の妹(湯本弘美)は基地容認派。認知症を患い感染症で下半身まひとなった祖母(藤井美恵子)など様々な人々と出会い、彩がどのような生き方を選択していくかを描いています。

 今回の公演は、劇団の座付き作家・福山啓子がかねてより日米安保条約を題材にした作品が出来ないか考えていたところ京丹後市に出来た関西初の米軍基地と隣接する自衛隊基地に、参道を残して周囲を囲まれた寺(穴文殊さん)があることを知ったことがきっかけでつくられました。2019 年に初めて現地訪問した後、何度も足を運び、2020年7月に京丹後市初のコロナ患者が米軍基地から出てクラスターが発生したことを受け、現代の様々な問題に向き合う人々を描くドラマとして生まれました。取材を受けた「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の永井友昭さん(京丹後市議)が、健一の父・明彦のモデルになっています。演出は前作、福山とダッグを組んだ関根信一。

 オンラインチケットは5月1日午後3時まで販売。初日(21日)の舞台が、24日午後2時から5月2日まで視聴できます。

 オンライン視聴は3000円。チケット購入は、劇団のHP(https://seinengekijo.base.shop)から。問い合わせ☏03・3352・6922(同劇団)。