光永敦彦府議団幹事長

 日本共産党府議団(原田完団長、12人)は12月4日、声明「地域・暮らし存続の危機から、暮らしと地域支える、府民が主役の新しい府政を」を発表しました。同声明の意義や西脇隆俊府政の問題点、府政転換への展望などについて、同党府議団の光永敦彦幹事長に聞きました。

国方針最優先「出先機関」に

子育て・教育 暮らし施策は停滞

 国土交通省出身の西脇府知事の姿勢は、これまでの知事以上に国の姿勢に追従し、大企業優先、新自由主義的施策を行っています。こうした問題点を告発し、2022年4月の任期満了まで、あと1年5カ月に迫った知事選へ共同を広げていきたいと思っています。

 特にコロナ禍のもとで、医療機関だけでなく地域経済、中小零細企業や学生も危機的な状況で、地域そのものの存続が危ぶまれる事態です。そのもとで、政府の言うままに、新自由主義的な施策を続けるのか、コロナ対策や府民の命と暮らしを守る新しい府政をつくるのか、どちらの道を歩むのかが問われています。

 政府の「骨太の方針2020」では「IT化・デジタル化」「防災・減災・国土強靭化」などを基本とし、民間企業の利益のために自治体業務を活用する仕組みを、コロナ禍の「惨事便乗型」で一気に推進しようとしています。

 西脇府政は、国の出先機関化し、新たな装いで大型開発やデジタル化・成長産業化など国の施策を忠実に最優先で行っています。

 府内では、総工費2兆1000億円の北陸新幹線延伸、「北山エリア」の開発、府南部の学研都市開発や城陽市の東部丘陵地開発など、住人そっちのけで狙われています。

 開発の手法で、西脇知事は府総合計画で、「産・学・公」との連携・協力、PPP(官民連携)/PFI(公共施設等の建設・運営に民間を活用する手法)、コンセッション方式などを掲げ、民間参入を積極的に促進。「北山エリア」計画では外資系の大手コンサルティング会社主導で府立大の体育館をアリーナに建て替え、エリア全体の運営に民間企業を導入する計画で、地域全体を企業利益優先のものに変質させる狙いです。

 また、水道の広域化・民営化問題でも国際的な水大手・ヴェオリア・ジェネッツが市町村事業に次々と参入するもとで、広域化計画づくりや市町村の説明まで民間会社主導で進めています。

 関西文化学術研究都市では山林をさらに削り、過大なまちづくりを計画し、「超スマート社会」実現へ、まるで実験場のような計画を進めています。学研都市を「スーパーシティ特区」として府が政府に応募を見込んでいます。さらに「健康長寿・データヘルス推進」を民間連携の柱にし、「MaaS」次世代モビリティ(自動運転)実証実験などを「産・学・公連携」で推進しています。

 そうした開発を進める一方で、「子育て環境日本一」を掲げながら、子どもの医療費無料化や中学校給食実現への支援、少人数学級などは前進していません。京丹後・米軍基地での相次ぐ問題や、原発再稼働の是非、消費税減税を求める声に対しても、政府とまったく同じ答弁を繰り返し、国言いなりの姿勢が浮き彫りになっています。

 私たちが宮津市で開催した経済懇談会には宮津市や伊根町の商工会議所・商工会会頭が参加されるなど、保守層との新たな共同が広がっています。こうした運動と世論、論戦を通じて、国のコロナ支援制度の拡充、府独自の助成制度の運用改善・期間延長が図られ、喜ばれています。

 大型開発・大企業中心より、まず暮らしへと転換するため、地域から暮らしと命を守るたたかいを広げ、府政転換を実現したいと思います。

「週刊京都民報」12月20日付より