完成した炭を手にする大西代表(前列右)と地元住民ら(11月22日)
森林組合所有山林の間伐材活用、商品化へ

 南丹市園部町の山間部にある大河内(おおかわち)地区の住民が、かつて地域の生業(なりわい)だった炭焼きを約60年ぶりに復活させました。エコな燃料の普及とともに、商品化による地域活性化にもつなげようと意欲的に取り組んでいます。

 取り組んでいるのは、地域で太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を進めている、「大河内地域自然エネルギープロジェクト」(OEP)のメンバーらです。

 同地域では終戦直後まで炭焼きが盛んに行われていました。OEPでは炭が地産地消で環境負荷の少ないエネルギー資源である点に着目し、かつての地域の伝統を生かして再生エネ普及につなげようと取り組みを進めてきました。

 かつて炭焼きに携わっていた地元の安達実さん(90)、五島清さん(91)の協力を得ながら、6月から石を組んで窯づくりを開始。取り組みには地元や近隣の住民がボランティアとして関わり、9月30日に初めて炭づくりに成功しました。11月22日には二度目の炭が完成しました。

今年6月からボランティアの力も借りて始めた窯づくりの様子

 同プロジェクトの大西一三(かずみ)代表は、「多くの方の協力で、地域の伝統を復活できた。炭の利用を広げることは地球温暖化防止にも貢献する」と語ります。

 また、炭づくりによる地域振興にも期待を寄せています。炭焼きの材料は、地元の生産森林組合が所有する山林でクヌギやナラを間伐して調達。今後は、原料調達による林業振興とともに、炭の販売による地域興しを展望しています。

 完成した炭は、名優・大河内傳次郎(おおこうち・でんじろう)と人気漫画「鬼滅の刃」の主人公で、炭焼きを生業としている竈門(かまど)炭治郎にあやかり、「大河内炭次郎(おおかわち・たんじろう)」と名付けました。

 大西代表は、「うまく焼けるか毎回、心配ですが、1回目より2回目で炭の質も上がってきている。商品化の軌道に乗せていきたい」と手ごたえを感じています。

 取り組みについての問い合わせは☎090・1914・2076(大西代表)。