菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題で、任命を拒否された1人である、立命館大学の松宮孝明教授が10月20日、京都市内で開かれた緊急の抗議集会に参加し、「今回の事態は、学問の自由への侵害だけでなく、法治主義の危機だ」と訴えました。

 集会は、京都大学職組、京都府公立大学法人労組、京滋地区私立大学教職員組合連合、日本科学者会議京都支部、自由と平和のための京大有志の会の5団体による実行委員会が主催し、市民ら約150人が参加しました。

 松宮氏は、日本学術会議法で会議の目的が、「人類社会の福祉への貢献」と規定されていることを紹介し、「今回の本当の被害者は、学問や学術の恩恵を受けるべき全ての人々だ」と述べました。その上で、法が学術会議の推薦に基づき首相が任命すると規定し、政府も国会答弁でその規定を認めてきた経過に触れ、「国民の知らないところで、そのルールが変えられようとしている。日本は法治国家でないと宣言したに等しい」と強調しました。

 また、政府が憲法15条1項を持ち出し、国家公務員の任命権者が総理大臣であるかのように述べていることを批判し、「総理大臣が好き放題に公務員を任命できると言っているに等しい。これでは独裁国家だ」と述べました。

 参加者のリレートークが行われ、任命拒否の撤回を求めるアピールが採択されました。