樹木が開発の許可が出る前に伐採された太陽光発電施設計画地(南山城村田山)

南山城村田山地区で、京都市伏見区の業者が施工する太陽光発電施設をめぐり、同村長が慎重な対応を求める意見書を提出したにも関わらず、府が9日、開発を許可していたことがこのほど分かりました。

 設置計画は、砂防指定地である同村大字田山小字ツルギの約1900平方㍍の敷地に、約50㌔㍗の出力のものを建設するというもの。

 土地所有者と事業主は木津川市の業者ですが、地元住民や行政との交渉、施工は京都市伏見区に本社を置くH社が担当しています。

 H社は、昨年春頃から、太陽光発電予定地近くに所有する砂防指定地内の土地に、砂防法違反となる、無届けの建設残土を持ち込み、盛り土を行なっていました。6月に府山城南土木事務所が持ち込み作業を中止を指示。住民は原状復帰を求めています。

 一方、H社は太陽光発電施設の工事で、砂防指定地の開発許可が下りていないにもかかわらず7月に重機を搬入。測量の必要性がないにもかかわらず「測量伐採」として、工事用道路の造成、伐採を始めたため、府が工事中止を指示する事態となりました。

 平沼和彦村長は8月17日に、施工業者(H社)が不法・問題のある行為を繰り返し、府の指導に従わない態度は、今後の事業展開に不安を抱かせるとして、許可にあたって慎重に対処するよう求める意見書を府(山城南土木事務所)に提出しました。

 また、「南山城村の自然を守る会」と日本共産党の齋藤和憲議員は9月2日、今回の太陽光発電予定地で、H社が無許可で伐採作業を行っていることを指摘し、許可を出さないよう求める要望書を同土木事務所長宛てに提出。府の担当者は「事業者(H社)を指導しており、監視も続けている。村長からの意見書も出ており、検討していく」と答えていました。

 ところが、府は9日になって、伐採は「測量伐採の範囲と判断した」などとして許可を下ろしました。

 同会の橋本洋一代表は、「村長の意見書が出され、無許可で伐採や造成工事を行うなど明確な違法行為が明らかになっているにもかかわらず、許可を出すということは考えられない」と語っています。