松岡寛・京教組教文部長

 京都教職員組合(河口隆洋委員長)は学校再開にあたり、教職員の討議資料として「学校の再開は『いまの子どもの姿』から」を作成し、配布しています。同資料の作成に携わった松岡寛教文部長に聞きました。

 休校が長引き、子どもたちは「学校に行かないことが当たり前」の生活を続けてきました。討議資料では再開にあたり、子どもたちをあたたかく学校に迎え入れることを呼びかけています。

 保護者の間では、3カ月に及ぶ休校で学力の遅れに不安の声も上がっていますが、まずは子どもたちの「いまの姿」をありのままに受け止めることが大事です。休校で退屈だったり、友達と会えずに寂しい思いをした子どもたちに耳を傾け、じっくりと見守ることが必要です。また、京教組は京都府教育委員会に対し、感染症対策や教職員増員、財政措置などについて4度に渡り申し入れてきました。

2~3年かけて文科省が特例も

 しかし、府内の各市町村では、夏休みを最短で2週間にまで短くしており、子どもたちへの負担が心配です。文部科学省は5月15日、小中学校で今年度中にできなかった教育課程について最上級生以外の生徒は次の学年に持ち越し、2、3年かけて取り戻してもよいという特例通知を出していますが、京都市教委は1日7時間も授業を詰め込んで全部の学習内容を無理に終わらせようとしています。

 実態に合わせ教育課程を精選することと、子どもたちの学校行事は安易に中止せずに感染防止対策をして実施すべきです。高校入試で、中学3年の学習内容からの出題を限定することも求めています。

 そして感染防止対策に徹底して取り組むべきです。教職員への感染症対策の研修をはじめ、少人数学級の実施やマスク・消毒液・非接触型体温計など資器材の確保が必要です。

 現場の教職員からは、子どもにはさせられない消毒・清掃の作業や給食での対応の増加、検温、発熱時の対応などの業務負担に不安の声が寄せられています。感染症対策を行うには人手が足りません。全てのクラスを20人程度にするためにも教職員の大幅増員を行い、感染防止の知見を取り入れた学校施設の整備が急務です。