かつての滑走路近くに設置されたモニュメントと案内板を紹介する(左から)田中さん、芦田さん

農地奪い建設、戦後住民が復旧

 戦時中、現在の福知山市などの一帯にあった海軍・福知山航空基地の記録を後世に伝えようと、市民有志が跡地にモニュメントを設置し、完成式が4月12日に現地で行われました。

 モニュメントは、滑走路の近くに置かれていた搭乗員待避所(区画整理にともない2007年に解体)を模したものです。同待避所から北に約30㍍地点の市有地に、飛行場の歴史を紹介する案内板とともに設置されました。

 モニュメントの中央から突き出した煙突は、待避所に空気を取り入れるために実際に使用されていたもので、設置計画を進めた有志の一人、芦田久男さんが保管していました。

 完成式では、地元住民で計画有志の一人、田中正美さんがあいさつ。田中さんは、飛行場があった土地は、戦前には豊かな農地が広がっていたことを紹介。しかし、飛行場建設のために農地は失われ、戦後になって地元住民が6年かけてコンクリートをはがし、農地に復旧したことを紹介。戦争の記憶とともに、戦時下の住民の苦難も伝えていく必要性を強調し、「モニュメントを今後の平和教育にぜひ活用していただき、子や孫に語り継ぐきっかけになれば」と述べました。

 来ひんとして参加した地元自治会長は、「戦争の記憶を風化させないため、モニュメントを引き継いで守っていかないといけない」と述べました。芦田久男さんが、設置の経過などについて説明しました。

完成式であいさつする田中さん(左端)=4月12日、福知山市