会見する各地のパーム油発電所の建設・計画地の近隣住民ら(1月30日、参院議員会館)

 騒音・悪臭の被害や大量の温室効果ガス排出が問題視されているパーム油を用いた発電所の建設・計画地の近隣住民が1月30日、東京都の参院議員会館で記者会見し、騒音・悪臭について事業者に指導するよう政府に求めるとともに、パーム油発電が固定価格買取制度(FIT)の対象とされていることは問題だと訴えました。

 会見したのは、福知山市で稼働中の発電所の悪臭・騒音対策を求める住民グループや、舞鶴市の建設計画に反対する住民、宮城県で建設中の発電所に反対する団体です。

 福知山市の「三恵福知山バイオマス発電所悪臭騒音対策推進会議」の三谷義臣委員長は、「(住民の中には)臭気で頭痛がし、薬を飲んでも治らない」と訴え、騒音被害について「(日常的に)夜中1時から3時にトイレで起きて、その後、寝られない」と説明しました。

 その上で、「重油や軽油も使っており、煙で洗濯物も真っ黒になる。これがFITで認定されるのはとんでもない話だ」と強調しました。

 舞鶴市の建設計画に反対している「舞鶴西地区の環境を考える会」の森本隆代表は、「バイオマスは良いものと思っていたが、福知山のことを知り、危機感が高まった。絶対に止める」と語りました。

 宮城県角田市で大手旅行会社HISが建設中の発電所について、「生活協同組合あいコープみやぎ」の井野恵美子さんは、「被災地に次々と問題のあるものを押し付けられる。地元住民として怒り以外の何物でもない」と訴えました。

 会見を主催した環境保護団体FoEジャパンは、住民生活に影響を与えるとともに、被害の救済措置も不十分な事業がFIT認定されていることは「制度的な大問題ではないか」と指摘しました。

 産業バイオマス社会ネットワークの泊みゆき理事長は、パーム油発電は温室効果ガスの大量排出が問題視されていることについて、FIT認定に排出量の基準を設ける必要性を訴えました。

悪臭・騒音対策を要望

 記者会見に先立ち、経産省と環境省に対し、悪臭と騒音対策を求める要望書とともに、舞鶴市の計画に反対する署名約1万1000人分を提出しました。