LICCAさん
LICCAさん

 京都市が歴史と由緒ある京都市美術館の改修に関わって、ネーミングライツ(命名権)を京セラ(伏見区)に売却し、名称を「京都市京セラ美術館」とすると発表したことを受けて、中京区先斗町のギャラリーのオーナーで現代美術家のLICCA(リカ)さんは昨年11月、「それなら私が拾います」とギャラリーの名称を「京都市美術館」と改称しました。LICCAさんに改称した思いを聞きました。

 京都市は、寄付を受け、内部に「京セラホール」などを設けるだけで十分だったのでは。私は、ネーミングライツそのものに反対しているわけではありません。球場のように名前が変わっても試合に影響のないものなら良いでしょう。でも美術館のように、名称に性格や歴史的意味合いが重層的に含まれている施設を対象にすべきではありません。市役所とかはしないでしょ。

 また、京都市は美術、美術館に対する解釈が古いのだと思います。昔、美術館は美しい〝お宝〟を集め、それらを展示・収蔵する場でした。近年の現代美術は社会に対するメッセージを伝えるもので、美術館は、メッセージの発信、学び、対話の場に変わってきています。公的な場であることの意味合い、役割は大きいのです。それを一企業の名前を冠することで、役割、価値をおとしめてしまいました。市民や美術関係者の意見をもう少し丁寧に聞くべきだったのでは、と思います。

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