福山和人さん出馬表明
市政要求を書いたステッカーを手にした市民とともに、記者会見をする福山氏(中央)。「京都市に住んでよかったと思える市政を市民と一緒につくりたい」と決意を述べました。(11日、京都市)

 来年1月19日告示、2月2日投票の京都市長選に、昨年の京都府知事選で大善戦した弁護士の福山和人氏(58)が11月11日、立候補を表明しました。市内で行われた記者会見には、多くの市民が同席するもと、福山氏は「京都市のおかげで人生を助けられた、そんな市政を実現するために全力で頑張る」と決意を表明。市長選に向けた政策の骨子を発表し、自身の基本姿勢や政策に共鳴してもらえる全ての政党・団体・個人に支援を要請したいと述べました。

 記者会見は、市民らが市長選に向けて、候補者擁立や闘い方を議論する中で結成した「こんな京都にしたいなぁ市民の会」が開いたもの。

 市政へのさまざまな要求を書いたステッカーを手にした市民ら約70人が会見に参加。「会」を代表して、市民環境研究所の石田紀郎氏が「市民と野党との共闘を追い求めていかなければ、京都のまちも政治もますます悪くなってしまう。多くの人の努力で、ともに闘う市長候補を見つけることができた」と述べました。

福山和人さん
出馬表明する福山和人さん

 福山氏は、昨年の知事選挙を一緒に闘った仲間が「市民の集い」を開き、市長選の候補者選びを論議する中で、立候補の要請があったと説明。「知事選にもう一度出てやとの声もあり悩んだが、普通の市民が政治をつくるという理念を京都市で実現できれば、府政全体を変える大きなうねりをつくることができる。私のわがままを許してほしい」と述べました。

 その上で、現在の市政について、「何もかもだめだとは言わないが、そろそろ変える時期。受け継ぐものは受け継ぎ、変えるものは変えるという当たり前のことをしたい」と強調。「この間、市民は選挙には負けたが、公契約基本条例、新景観政策など、十分かどうかは別にして、自分たちの声を市政に反映させてきた。今度は、市民自らが政策を実現する市政をつくりあげたい」と訴えました。

 発表した政策骨子では、「つなぐ」をキーワードに、○夢をつなぐ○なりわいをつなぐ○まちをつなぐ○未来へつなぐ○ひとをつなぐ―の5つを柱に、31項目の「重点政策」を掲げました。市の財政の現状は厳しいとしながらも、「地域や住民の懐を温めるなら、税収を増やすことができる」と強調。政策に掲げた子どもの医療費無料化の拡充など、「福祉を充実させながら、財政を好転させることは可能だ」

と訴えました。同じく政策に盛り込んだ、中小企業地域振興基本条例の制定に基づき、自治体が積極的に地元業者に発注することで、地域の経済を守っていきたいと述べました。

 併せて、「地方自治体の役割は住民の福祉の増進」にあるとし、「北陸新幹線などの大型公共事業について、いらんものは省き、市民のサービスを充実させていく」と表明。「政策については今後、市民とのタウンミーティングなどでブラッシュアップしたい」と述べました。

 推薦する政党の枠組みについて聞かれ、「共産党、新社会党に加え、れいわ新選組も何らかの形で応援してくれると考えている」と説明。今後、他の政党も含め、全てにあいさつし、国政野党には支援要請をしていきたいと述べました。

 市長選には、既に前京都党代表の村山祥栄京都市議が、8日には現職の門川大作氏が立候補を表明しています。

■福山氏が発表した「政策の骨子」(抜粋)

◆基本姿勢
  • (1)継承か変化かではなく、継承しつつ変化させる
  • (2)無駄か活力かではなく、無駄を省き活力を養う
  • (3)連携か孤立かではなく、連携しつつ自治を育む
◆重点政策

1.夢をつなぐ

  •  ・貧困をなくすため先頭に立つことの宣言と実態調査
  •  ・子どもの医療費助成制度の拡充
  •  ・全員制の中学校給食の実施と段階的無償化
  •  ・給付型奨学金の創設などの若者支援
  •  ・国保料の引き下げ

2.なりわいをつなぐ

  •  ・中小企業地域振興基本条例の制定
  •  ・公契約条例制定などにより最低賃金1500円をめざす
  •  ・大型公共事業については、一旦立ち止まって必要性、弊害の有無、住民合意などの観点から検証

3.まちをつなぐ

  •  ・オーバーツーリズムの弊害解消を目指し、総量規制等の検討を進める
  •  ・新景観政策の見直しの再検討

4.未来へつなぐ

  •  ・原発再稼働の「同意権」を含む、立地県並みの協定締結
  •  ・実効的な避難計画、ヨウ素剤配布など
  •  ・台風、水害などの災害対策のため公共的インフラの整備を着実に進める
  •  ・各種団体、企業等と連携し、避難所の増設と改善を進める

5.ひとをつなぐ

  •  ・住民の自治の力をはぐくむこと
  •  ・業務統合を見直し、現場に近いところに職員と権限と予算を配置
  •  ・行き過ぎた公務の民営化や非正規化の見直し
  •  ・朝鮮学校の無償化除外を見直し
  •  ・LGBT支援策、パートナーシップ条例の制定