ビジネスホテル計画断念を喜ぶ住民と山崎匡宇治市議

 宇治市木幡の住宅地域に、京都市のホテル運営会社(本社南区)が7階建て(高さ約20㍍)のビジネスホテル建設を計画し、地域住民が反対運動をしていた問題で(2017年4月2日付など既報)、ホテル運営会社が9月17日、宇治市と住民に「計画断念」の意向を伝えました。住民らは「住民の運動が実った」と語っています。

 建設が計画されていたのは、JR奈良線沿い西側にある約1900平方㍍の土地。鉄筋コンクリート造の地上7階建て、客室125室を予定していました。

 計画地は、宇治市が定めた住宅の環境を守るための第一種住居地域。20㍍の高さ制限は辛うじてクリアしているものの、周囲は2階建ての低層住宅が並び、設計図によると西隣りの民家とは実質1・1㍍しか離れておらず、住環境の悪化が懸念されていました。

 ホテル入口となる計画地南側に面する市道は、木幡小学校、木幡中学、東宇治高校の生徒・学生の通学路で、近くにある北木幡保育所の園児が散歩コースとしても利用しています。

 幅員が5㍍と狭く、東側に幹線道路の府道やJRの踏切もあり朝はとくに車が渋滞し、現在も危険な状態。住民らは「ビジネスホテルなら朝は交通量が増え、より危険となる」と不安視していました。

 2017年3月に計画が発覚すると近隣住民は「ホテル建設問題協議会」(田中良治代表)を結成し、いっせいに、「ホテル建設絶対反対」のプラカードや横断幕を自宅に掲示。のぼりも設置しました。

 同年4月に行われた第1回目の住民説明会には会場いっぱいの68人が参加し、反対意見が続出。木幡小学校PTA会長、日本共産党の山崎匡市議、前窪義由紀府議(当時)、や自民党の市議(当時)、民進党(現・国民民主党)の市議らも参加。第2回も開催され、業者は第3回の開催を口にしましたが、結局、開催できませんでした。

 地元陣ノ内町の町内会は総会で反対を決議。「ホテル建設問題協議会」は宇治市長や、同年4月投票の知事選挙に立候補を表明していた候補者にも建設反対の要望書を提出。さらに宇治市長には、建設反対署名を3009人分提出しました。

 日本共産党は市議会、府議会で、建設中止を求めました。

 ホテル建設問題協議会事務局の山本弘氏(75)は「私たちだけでなく地域をあげて反対運動ができたことで計画断念に追い込めた。粘り強く運動する間に京都市内のホテルが急増し、需要が見込めなくなったことも追い風となった。今後、土地が転売される可能性もあり、気を抜かずに注視してゆきたい」と語っています。