カメジロー
瀬長亀次郎 ©TBSテレビ

 「沖縄返還」佐藤首相追及の圧巻「12分」も収録

 現在の「オール沖縄」につながる自治と民主主義の思想を戦後沖縄で育んだ瀬長亀次郎・沖縄人民党委員長(日本復帰後、日本共産党副委員長、1907~2001)の歩みや、施政権奪還・日本復帰へのたたかいを描いたドキュメンタリー映画『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』(佐古忠彦監督、128分)が7日から、京都みなみ会館(南区)で上映されます。

 2017年に公開されたドキュメンタリー映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』の続編。監督は前作と同じTBSテレビプロデューサーの佐古忠彦。音楽も引き続き、坂本龍一が担当。語りは、大杉漣に代わり、役所広司が務めています。

 今回は、亀次郎が残した230冊を超える日記を丹念に読み解くことで、政治家としての思想に肉薄するとともに、息子、学生、夫、父親としての亀次郎像についても明らかにしていきます。次女の内村千尋さんの証言がさらに人間像を生き生きとしたものにしています。

 亀次郎が1956年、那覇市長選挙に当選したものの、米軍と追随者の陰謀により降ろされ、被選挙権すら奪われながらも、諦めずたたかいを進めた原点に母親の「真実の上に弓矢は立たない」、大学の恩師の「節を曲げるな」などの教えがあったことを紹介。

 その後、住民の心をつかみ、被選挙権回復(66年)、現在の県議会に相当する立法院議員選挙当選(68年)、復帰を見込んだ沖縄での戦後初の国政選挙での衆院議員当選(70年)などを、日本復帰へと向かう運動の前進とともに丁寧に描いています。

 立法院議員選挙と同時に行われた琉球政府の行政の長を選ぶ初の行政主席選挙では、人には様々な考え方があるとして、「小異は捨てずに大同につく」と、現在の「オール沖縄」路線につながる思想を訴えたことを示し、復帰1年前(71年)の衆院沖縄・北方問題特別委員会で亀次郎が、佐藤栄作首相(当時)を前に、日米間で結ばれた米軍基地を維持したままの沖縄返還協定の欺瞞(ぎまん)を鋭くつき、「沖縄の大地は、再び戦場となることを拒否する。基地となることを拒否する」と喝破した質問を12分にわたって収録。現在のたたかいに通じる沖縄の人々の思いを代弁するものになっています。

 7日(土)午前10時、午後4時半(☆)、8日(日)午前10時(☆)、午後4時50分、9日(月)~12日(木)午前10時、午後4時5分、13日(金)~20日(金)上映時間未定。☆=佐古監督、内村さんのあいさつあり。1800円、60歳以上1100円、学生・障がい者1000円。同館☎075・661・3993。