読売KODOMO新聞
京都市内の小中学校で11万部が配布された「読売KODOMO新聞」特別版

 安倍首相の写真を前面に掲げ、「G20大阪サミット」を特集した「読売KODOMO新聞」特別版が、京都市の小中学校などで11万部が配布された問題で、本紙が市教委に、配布を決定した際の議事録や決定文書の開示請求をしたところ、市教委は、「相談・確認は口頭で行い、公文書は作成していない」と回答しました。配布決定に至る論議の内容は不透明なままで、市教委に対して、市民からは批判の声が上がっています。

 同新聞は、自民党総裁である安倍首相の顔写真を1面に大きく掲載したもので、参院選を前にした6月に配布されました。読売新聞社への過剰な便宜供与にとどまらず、公教育の中立性の原則を逸脱し、選挙前の事前運動の可能性もあったことから、保護者や市民から市教委に抗議が相次ぎました。

 本紙の開示請求に対して、市教委は8月6日付で、「請求に係る公文書は作成していない」として「非公開とする」とした決定通知を出しました。

基準不透明「ブラックボックスに」

 7月に抗議の申し入れをした福山和人弁護士は「今回の配布は、教育の政治的中立性をゆがめかねません。市教委は市民の申し入れに対し『問題ない』と言いましたが、問題ないかどうかを判断するのは、主権者である市民です。市教委は決定に関わる基準と判断を明らかにすべきです。まずいことは文書にしないというのは安倍政権と同じです。これではブラックボックスに入ったままで検証すらできません」と話しています。