京都みなみ会館
京都みなみ会館の外観

 オールナイト上映企画などで人気を博しながらも、惜しまれて3月末に一時閉館していたミニシアターの京都みなみ会館(京都市南区)は8月23日、1年5カ月ぶりに再開。場所を九条通南側から北側の銀行跡に移転。スクリーンも1から3に増えました。心待ちにしていたファンは、開館とともに、贈られた胡蝶蘭が多数並ぶ新しい建物で、感想を語り合いました。

 朝、開館を待って入場した男性(南区)は「政治性のある作品であろうが芸術系であろうが、自分がいいと思ったものを上映する館長のポリシーがいい。館長をリスペクトして訪れる映画関係者も多い。再開を待っていた」と思いを語り、同館があるから南区に移住してきた女性は「オールナイト企画では一体感を感じられるし、若い観客も多く反応が面白い。再開してよかった」とほほ笑みます。

 吉田由利香館長は「本当にお待たせしました。スクリーンも増え、上映できる幅も広げたい。2階のスペースでトーク企画やアートの展示などもしたい」と抱負を語ります。

 事業主・巌本金属の巌本博社長は「いい作品をつかんでくれる館長の意見を聞きながら、上映だけでなく、映画製作、人材育成なども行ってきた。京都の企業として、映画館再開を機に、さらに映画文化の発展に協力していきたい」と述べます。

 同館は、建物の老朽化にともない閉館していたもので、スクリーンは旧館が154席1つだったのに対し、新館は126席(車椅子スペース2)、54席(同1)、30席(同1)と3つに充実されました。

 126席のシアター1には、20年前に仕入れた旧館の赤くやわらかなフランス・キャネット社の座椅子が同社により再現されて設置。35㍉フィルム映写機も常設し、旧作上演なども出来ます。

 シアター2・3は、小規模で学生などの実験的な作品や芸術的作品上映にも対応可能。今後も、オールナイト企画などは行っていくとしています。