福知山市パーム油発電所
福知山市のパーム油発電所を視察する日本共産党の福知山、舞鶴両市議団

 福知山市土師(はぜ)新町の住宅街に隣接する地域で稼働中の「三恵(さんけい)福知山バイオマス発電所」の周辺住民から、騒音や臭いについての苦情や眠れないなど健康被害を訴える声が上がっています。住民は、事業者に対して早期の対策実施を求めて地域を上げて活動しています。

「眠れない」「臭いに吐気、受診した」

 発電所は、パチンコ店経営やソーラー発電事業などを行う三恵観光(同市堀)が運営し、2017年6月から稼働しています。パーム油を燃料に使用し、発電容量は1760㌔㍗。発電した電力は電力会社に売電しています。

 発電所の敷地境界から、最も近い住宅までの距離は約10㍍ほどです。近隣住民によると、稼働前に同社から、発電施設の屋外では騒音レベルを「50以下」とし、臭いについては「問題にならないレベル」と説明を受けたといいます。

住宅街(手前)に隣接する高台に建てられたパーム油発電所

 しかし、稼働が始まるとボーという騒音が響くとともに、油が焦げたような不快な臭いが漂うようになりました。

 住民からは、「24時間の騒音で眠れない」「騒音で発電所に面した部屋は使えなくなり、物置にした」「臭いで吐き気がし、病院を受診した」などの訴えが相次ぎました。

 こうしたもと、近隣住民は「騒音悪臭問題対策推進会議」を結成。独自に騒音測定などを行い、住宅前で60近くの値を計測しました。また、事業者に対し、事前の説明事項を守るように求める要望書を4月23日に提出しました。

 発電所付近の住宅地には騒音と臭いの対策を求めるのぼりが林立し、地域を上げての取り組みとなっています。同会議によると、同社からは、騒音については調査の結果、法律に基づく環境基準(昼間65、夜間60)を下回っているとともに、臭いは「受忍限度を超えていない」という回答があったといいます。こうした同社の対応に対し、住民は不信感を募らせています。

 同社は、煙突を設置し、住宅と反対の方向に向けるなどの対策を実施しましたが、住民によると「全く効果を実感できない」という状態です。取材に対し、同社広報担当は、「近く騒音と臭気について対策を実施したい」としています。

 住民は同市に対しても対応を求めています。同市生活環境課は環境基準を満たしているために強制的な指導はできないという見解を示した上で「住民の訴えを受け、対策を要望している」としています。

住宅街に多数設置された騒音・悪臭対策を求めるのぼり

 問題となっているパーム油を燃料とする発電所設置が舞鶴市でも計画されています。民間企業が6万5590㌔㍗(約66㍋㍗)の発電所を22年11月の稼働開始予定で建設するものです。計画地の敷地境界から10㍍ほどの場所には民家があり、周辺住民からは、「福知山の事例を聞くと、悪臭と騒音への不安はある」という声が上がっています。

 こうした状況を受け、日本共産党の福知山市議団(塩見卯太郎団長、5人)、舞鶴市議団(伊田悦子団長、4人)は1日、福知山市の発電所を視察し、住民から説明を受けました。塩見団長は「被害に苦しむ住民の声を議会に届け、行政として対応するよう求めていきたい」と話しています。