フェミ科研費裁判
第2回口頭弁論について報告する弁護団

 「慰安婦」問題を扱った研究に対し、「ねつ造」「反日」と攻撃した自民党の杉田水脈(みお)衆院議員をジェンダー研究者4人が提訴した「国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判」(フェミ科研費裁判)の第2回口頭弁論が7月30日、京都地裁で行われました。

 裁判官は、杉田氏の発言について原告側が「事実の摘示」、被告側が「論評」としていることを確認。引き続き協議を続けるとして、数分で閉廷しました。

 閉廷後、京都弁護士会館で行われた支援集会には、130人が参加しました。同裁判支援の会呼びかけ人の中野晃一・上智大学教授が「慰安婦問題に関わる言論・表現・学問の自由の抑圧」と題して講演しました。

 中野氏は、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(教科書議連)や日本会議の思想である歴史修正主義が第2次安倍政権(2012年12月~)のもとで「公式な政策」となったと指摘。「慰安婦」問題を扱った朝日新聞の「吉田証言記事」取り消しや、映画「主戦場」上映差し止め裁判などの動きを紹介し「安倍政権は求心力を高めるため、改憲へアクセルを踏んできたが、安保法制以来の市民社会の反対が一番困ること」と話しました。「ねつ造」「反日」などの杉田氏の発言は「杉田氏単独で行っているとは思えない」として、「よく分からない」と傍観するのではなく、凝視し、声を上げていこうと呼びかけました。

中野晃一氏
中野晃一氏

 支援集会では支援の会共同代表の岡真理・京都大学教授があいさつ。弁護団は準備書面で杉田氏が「社会的な評価を低下させていない。一個人として言っただけであり名誉棄損ではない」と述べていることを紹介。「逃げ腰ではないか。私たちは事実が真実であるかどうか、次の準備書面を協議していきたい」と述べました。

 4人の原告が感想と決意を表明。裁判を傍聴した「慰安婦」問題を授業で取り上げて、攻撃を受けている大阪の中学校教諭・平井美津子さんらが発言。「一緒にたたかっていきたい」と連帯を表明しました。

 第3回口頭弁論は12月13日(金)午後3時から行われます。