パネルを示し、安倍首相ら閣僚(左側)に質問する倉林議員(2018年2月、参院予算委員会)=「しんぶん赤旗」提供

生存権脅かす「差し押さえ」実態告発

 「本来なら救えた命ではないのか」「子どもにも保険料がかかる。現代の人頭税だ」―倉林議員は、高すぎる国保料(税)に苦しむ市民の実態を安倍首相に示し、国保料(税)の引き下げを求めて追及。首相に「(国保には)構造的問題がある」と認めさせました。

 倉林議員は今年2月7日の参院予算委員会で、高い国保料(税)が払えずに保険証が取り上げられるなどして、医療にかかれず「手遅れ死」となった事例が17年で63件(全日本民医連の調査)にのぼったとし、「本来だったら救えたはずの命ではないのか。お金がなくて命を落とすようなことがあってはならない」と安倍首相に迫りました。

 首相は「低所得の方に配慮したきめ細やかな対応を行うよう、市町村に対して徹底を図ってまいりたい」と答えざるを得ませんでした。

 国保加入者は、無職・非正規雇用労働者など他の医療保険より所得が低く、病気になる人が多くを占めています。倉林議員はこうした国保の問題点を示し、「もっと公費を投入しないと保険料は際限なく上がり続けるのではないのか」と迫りました。首相は、「確かに、国保制度には高齢化の進行や、無職・非正規雇用の労働者など低所得の加入者が増加するなどの構造的な問題がある」と認めました。

まるで人頭税「均等割」廃止を

 暮らすだけで精一杯な世帯が多いのに、他の医療保険にない「世帯割」「均等割」があり、保険料を押し上げています。倉林議員は、子どもからも徴収する「均等割」は、まるで「人頭税」だと指摘、公費1兆円を投入して均等割などを廃止し、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げる展望を示しました。

 また、命も脅かす差し押さえの横行についても、繰り返し追及してきました。

 給与を全額差し押さえるなど、生活保護基準以下に追い込む非情な徴収の実態を告発。国税徴収法に基づき、本人10万円と、親族1人あたり4・5万円は差し押さえできないことを認めさせました(17年3月の参院予算委員会)。業者や市民、団体関係者から「差し押さえを止めさせるためにも、金額を明示させたのは大きな成果だ」と喜びの声が上がりました。

 安倍政権は、生活保護基準の引き下げを強行するなど、制度改悪を続けてきました。倉林議員は、生活保護受給者の厳しい生活実態を示し、運動とも連携しながら改悪反対の論戦を続けてきました。

 安倍政権は昨年10月、生活保護利用世帯の約7割で生活扶助の引き下げを強行。最大5%の削減について、国連の人権専門家が「多くの人を貧困に陥れる」と警告しましたが、日本政府がこの警告に対し抗議していたことが倉林議員の追及で明らかになりました。

 倉林議員は、現在でも食事は2回、入浴は週1回しかできない生活保護利用者の声を紹介。憲法が規定する健康で文化的な最低限度の生活とは何かが問われていると、基準引き下げ撤回を求めました。

生活保護引き下げ見直し、野党で共同堤案

 倉林議員は、13年の基準改定は、意図的に大きくした物価下落率を根拠に生活扶助費を減額したとして、「物価偽装」による基準引き下げを批判。社会保障審議会の部会にも諮らず強行したのは、自民党の生活保護給付1割削減公約があるからだと批判し、撤回を求めました。

 生活保護費の削減撤回を求める運動の広がりを受けて、野党6党・会派は18年3月、生活保護法等改正案(子どもの生活底上げ法案)を衆院に共同提出。引き下げられてきた生活保護費の見直しをはかるとともに、児童扶養手当の支給対象を「20歳未満の者」まで拡大し、支給額も月額1万円増額することなども盛り込んでいます。