開発地近くに設置されている簡易水道の非常用取水口。開発地で農業が使用されれば流れ込む可能性があります

 米外資系企業「FS Japan Project6合同会社」(FS6社)が南山城村で進めているメガソーラー建設計画に関わり、同社と村との「協定書」で除草剤や農薬について“使用可能”の解釈の余地を残す記述となっている問題で、村がFS6社や今後誘致する企業を“忖度(そんたく)”し、使用可能の条項にしていたことがこのほど村の幹部の証言で明らかになりました。

 問題は、FS6社が住民説明会などで再三「農薬は使用しない」と明言してきたにも関わらず、「協定書」で、「環境保全と排水先の利水目的に支障をきたす恐れのある除草剤や農薬等は使用しない」と全面禁止でない、あいまいな表現になっているもの。

 本紙の取材に対して、村の幹部は周辺の農家も農薬を使用していることや今後、菌床シイタケ工場や、道の駅横にホテル誘致の計画があることを列挙した上で、「村に農薬を規制する条例、規則がないなか、太陽光発電所の除草剤や、農薬だけ使用を規制すると公平性を欠く」「手で除草するのは手間がかかる。草が伸びたまま放置されると大変」として現在の条項になったと発言。

 FS6社側が除草剤や農薬の使用を要望した場合について、村としては、許可権者の府との協議を求め、府が許可すれば、使用を拒めないとの見解を表明しました。

 南山城村の自然を守る会の橋本洋一代表は、「簡易水道の非常用取水口周辺の開発地なので、村は村民の安全を考え、農薬は使用しないと主張すべき。業者が『使用しない』と明言しているのに、村はなぜ使用可能な条項で締結したのか理解に苦しむ。業者側の提案、または、村が業者の要望を忖度したとしか考えられない」とのべています。