京都府南山城村と三重県にまたがる約80ヘクタールの山林で、米外資系企業「FS(ファーストソーラー) Japan  Project6合同会社」(東京都千代田区)が37・5㍋㍗のメガソーラーの建設を計画している問題で、住民団体は昨年12月21日、弁護士団体、研究団体と共同で京都府に提出した公開質問状(昨年9月)に対する府の回答(昨年11月)に未回答部分や問題点があるとして、質問・要望書を京都府山城南土木事務所に提出しました。

 公開質問状を提出していたのは「南山城村の自然を守る会」、「南山城村・伊賀市住民有志の会」、自由法曹団京都支部、国土問題研究会。

 公開質問状では、京都府域の開発予定地全域が砂防指定地になっており、開発にあたって「京都府砂防指定地内行為審査技術基準」に基づかなければならないにも関わらず、渓流に盛土し、流路を変更して迂回(うかい)させる開発業者の計画は、同基準で禁じる「地下水位が高く、浸透水及び湧水(ゆうすい)の多い区域、軟弱な基礎地盤区域の盛土」と「流域の変更」などに該当するとして、府の見解を求めていました。

 府は、集水井戸を設けて地下水を低下させて土質改良等を行い、元の地形と盛土の間に暗渠(あんきょ)排水管を設けて湧水に備えるとともに、調整池を設置して雨水の流量調整をする計画であれば工事は可能で、流域の変更は認めざるを得ないなどと回答していました。

 質問・要望書では、国土問題研究会の現地調査と分析、自由法曹団京都支部との懇談を踏まえて府の回答を検討した結果、府は計画・計画地が「基準」で禁じる項目に該当するか答えておらず、集水井戸で地下水が浸透・湧水すると想定していること自体が、盛土を禁じる場所に計画が該当することを示していると指摘。さらに、流域の変更はいかなる事情でも許可されるべきではないと批判。

 また、渓流地の盛土については、「基準」で利水・治水面と土石流災害防止の両面から禁じているにも関わらず、府は土石流災害防止について触れていないばかりか、全体的に土石流災害の防止といった砂防に関わる用語が一つも含まれておらず、砂防指定地の審査基準をクリアしたとは到底言えない、と結論付けています。